従業員130人で月400~800体を出荷中

――日本では2000年代後半にラブドールブームが起きています。ラブドールと遊べる性風俗店ができたり、ラブドールファンの専門誌が創刊されたりしました。

【楊】特にオタク系の分野の情報は、中国にもすぐに伝わるんですよ。お客さんへ送るためにオリエント工業のショールームに行ったところ、実物の美しさとかわいさに圧倒されました。自分でも買ってみると、その素晴らしさがよくわかりました。そこで、中国でも作れないかと考え、2009年に大連に戻ってから起業準備をはじめました。

EX社製品、通称「ホタルちゃん」。眉や下まつげを植毛ではなく描くなどしてコストカットしつつ、美しい見た目を実現しているという。

――当時、楊さんは26歳ぐらいですよね。儲かりそうなものを見つけたらすぐに商売にする中国人のスピード感は、あらためてすごいと感じます。

【楊】もともと「代購」のために小さな会社はつくっていたんです。帰国後、2009年から2年ほど研究開発して、2011年に第1号を商業ベースに乗せました。地元の友人知人を誘って会社を大きくして、2013年に業務をラブドールの製造だけにに転換。売れ行きがよかったので、2016年から上場の準備をはじめ、2017年8月に新三板市場に上場しました。

――現在、会社の規模は?

【楊】上場時点の資本金は1036万元(約1億7800万円)。自社工場の面積は3000平方メートルで、従業員数は130人くらい。月に400~800体を出荷しています。売り上げは中国国内向けが5割。日本を含めた海外向けが5割です。

――日本だと、大手のオリエント工業や4woodsでも従業員は数十人程度ですし、企業の規模はもっと小さいようです。

【楊】中国ではもっと大きなビジネスができるんですよ。ラブドールの市場は大きいし、競争相手もほとんどいないブルーオーシャン。そして郊外なら土地も人も簡単に確保できますから。

――中国での客層は?

【楊】高価なものですから、やはりお金を持っている人たちですが、若者や既婚者のお客さんもいます。女性のお客さんも多いんです。(性行為をする)「実用」が目的というより、衣装を着せてコスプレを楽しんだり、写真撮影の被写体に使っていたりするようです。等身大のフィギュアみたいな感じですね。