若年層のスマホ使用については、カナダ保健省も2011年、18歳未満に対してはスマホを含む携帯電話の使用時間の抑制を大人が促すべき、という提言を行っています。

また身体的な悪影響以外にも、例えば米高級誌「ジ・アトランティック」の2017年9月号は、「スマートフォンが次世代を破壊してしまった?」(Have Smartphone Destroyed a Generation?)という記事で、若い世代の精神面への害の可能性を指摘しています。「2011年以降、ティーンエージャーの鬱(うつ)症状の発症率や自殺率は急上昇している。(スマホとSNSの時代の申し子である)『i(アイ)世代』は、ここ何十年かの間で最も深刻なメンタル面の危機に立たされているといっても過言ではない。そのかなりの要因は、もとをたどれば彼らのスマホにあるかもしれない」

長期的視野に立ったリスクの考察を

日本政府はどうでしょう。

総務省は、「現時点では、安全基準を超えない強さの電波により健康に悪影響を及ぼす証拠はないことを確認」したとしつつ、「携帯電話を長時間使用した場合のリスクについてすべて解明されたわけではありませんので、心配される場合には、IARCの幹部が言及しているハンズフリー機器やメールの利用など、各個人がそれぞれの事情に応じて適切と思う対策をとることが適当と考えます」と述べています。(総務省「電波利用ホームページ」)。

一方で、子供たちのスマホ使用については、学校に持って来ないとか、授業中は禁止といった個々の学校の規則を除けば、カリフォルニア州やカナダのように、使用時間の制限を推奨するようなガイドラインは出されていないようです。たとえ健康への悪影響が立証されていないとはいえ、スマホが次世代の子供たちにもたらす、精神的影響なども含めたもろもろのリスクについて、国家として長期的視野から考えておく必要は十分あるような気がします。

高濱 賛(たかはま・たとう)
在米ジャーナリスト。米パシフィック・リサーチ・インスティチュート所長。1941年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業後、読売新聞入社。ワシントン特派員、総理大臣官邸、外務省、防衛庁(現防衛省)各キャップ、政治部デスク、調査研究本部主任研究員を経て、母校ジャーナリズム大学院で「日米報道比較論」を教える。『中曽根外政論』(PHP研究所)、『アメリカの教科書が教える日本の戦争』(アスコム)など著書多数。