「加熱式タバコはOK」という飲食店が増えてきた

そんな禁煙の店が増える流れの一方で、「紙巻きたばこはダメだが、加熱式タバコならOK」という飲食店が増えてきている。

Borracho
港区新橋3-22-2東ビル1F 電話03-6721-5330
(営)17:00~23:00 日・祝定休 牛ハラミの串焼きを赤ワインでが一押し。エビとマッシュルームのアヒージョも人気だ。

新橋でカジュアルなワインバー“Borracho”を営む斎藤崇貴さんに聞いた。

「小さな店ですし、タバコのニオイがワインの香りの邪魔をするので店内禁煙にしていたのですが、昨年の10月から加熱式たばこはOKにしました。きっかけはお客様からのリクエストですが、紙巻きタバコと比べると煙はないし、ニオイも少ないというのが一番の決め手になりました」

加熱式たばこをOKにしたことによるトラブルもないという。むしろ知らない客同士が、充電の切れた本体を仲良く貸し借りする光景が見られるようになったそうだ。

「吸わない人にとっても居心地のよいことが何より大切だと思います。ただ、それは屋内全面禁煙といった一律の法律ではなく、店が自分の判断で決めていいと思うのですが、どうなるのでしょう」(斎藤さん)

BISTRO Q
港区赤坂2-20-15 HAGAビル1F 電話03-6459-1909
(営)11:30~14:00(L.O)、18:00~23:00(L.O) 日・祝定休 フォアグラ入りハンバーグが有名。カレー通の間ではスパイシーなカレーも美味しいと評判。

3つの加熱式たばこのなかでプルーム・テックだけをOKにしているのが、赤坂にあるお洒落なフレンチレストラン“BISTORO Q”。オーナーシェフの山下九さんはこう話す。

「16席のこぢんまりした店ですし、開店以来ずっと禁煙でした。そもそもお吸いになるお客様も少ないのですが、プルーム・テックはニオイが全然しないので吸ってもいいことにしました。他の加熱式もOKにしてよという声ですか? 今のところ聞きません」

ちなみに今年6月に東京で発売され、発売エリアの多さで先行するアイコスとグローを追いかけるプルーム・テックだが、禁煙スペースでプルーム・テックだけが吸える飲食店は、都内ですでに約750店あるという。ニオイのなさが強みになっているようだ。

有害成分の発生もニオイも紙巻きたばこに比べ、格段に少ない加熱式たばこだが、東京都が今年9月に示した基本的な考え方では、紙巻きたばこも加熱式たばこの区別なく罰則付きの規制対象としてきた。

しかし、「さすが排除好きの小池さん、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いみたいな対応だ」と感じた人は少なくなかったようで、「科学的根拠に基づいて規制すべきだ」との意見が相次ぎ、東京都は再検討することにしたといわれる。

とはいえ、もちろん加熱式たばこだから何でも許されるわけではない。吸う人と吸わない人が共存できる可能性があるものだけに、加熱式たばこ愛好者にはいっそうのマナーの向上を求めたいところだ。

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