外国への憧れが減少している

他のデータも見てみましょう。「外国や海外旅行の話を知りたい」、「外国人と友達になりたい」、「海外留学をしたいと思う」といった項目が、軒並み過去最低となっています。海外旅行というより、海外そのものへの興味が減っているようです。逆に20年前の1997年は、海外旅行に行った経験のある子は今より少なかった一方で、外国の情報に対しての興味度は高く、海外旅行や留学にも行ってみたいし、外国人の友だちも欲しいという、憧れが強い時代だったということができます。

テレビ番組などのメディアでは、今でも毎日のように海外の情報は取り上げられますし、海外でディープな取材を行うバラエティー番組もたくさんあります。SNSには海外旅行の投稿があふれ、Googleストリートビューを使えば、その場にいるかのように海外の街並みを見ることができます。外国の情報が容易に手に入るようになったことで、海外旅行の敷居は低いものになっているはずですが、その一方で冒険心をくすぐる未知の部分や、憧れといった感情は薄らいでいるのかも知れません。

外国の人とのつながりという点でみても、「外国人と友達になりたい」という子は減っている一方、「外国人の友だちがいる」という子は徐々に増加しています。研究の中でお話をうかがった先生方の印象としても、首都圏の学校では外国籍の子が学年に1~2人いるのは当たり前、という感覚だそうです。

マクロの統計としても、文部科学省の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」によると、日本語指導が特別に必要な外国籍の児童生徒数はこの20年間で約1.8倍になっています。また、同調査によると、日本国籍を持っていても日本語に不慣れで、特別な指導が必要な児童生徒も近年、急増しているようです。今の子ども達にとって、外国人と聞いてイメージするのは、見知らぬ国の人々のことではなくよく遊んでいる子のことであって、日常であるがゆえに特別な存在ではないのでしょう。