「(PFで)午後3時に帰るなら店舗の手伝いに来い」

しかし、政府の働き方改革や休み方改革の一環として取り組むとなると、労働者に公正・公平に休みが享受されることが原則だ。

消費イベントに関係のない企業に勤める労働者が早帰りできたとしても、消費イベントを盛り上げようとする企業に勤める労働者はPFイベントに合わせて仕事が忙しくなり、早帰りどころか残業せざるをえなくなる。とくに人手不足にあえいでいる小売・飲食・サービス業の労働者にとっては労働過多を招きやすい。

また、仮にサービス業の会社でPFを実施するとしても、早帰りできるのは一部の社員であり、社員間に不公平が発生する。そのことを見越してPF実施を見送った企業もある。

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食品加工販売業の人事部長はこう語る。

「当社は工場と小売店舗を展開していますが、工場は金曜日を含めてフル稼働なので難しい。また逆に小売店舗はPFに合わせて販売が忙しくなる。やろうと思えば本社などの事務方の社員は早帰りできるでしょうが、営業や販売部門から『早帰りするなんてふざけている』という批判が飛び出すのは必至。それこそ3時に帰るなら店舗の手伝いに来いといわれかねない。社員の公平性の観点からやらないことにしました」

▼月末金曜日は月次決算などで事務部門も忙しい

業務によって早帰りできる社員もいればできない社員もいるのはどこの会社も同じだ。だが同社のようにPFに合わせてイベントやキャンペーンを展開する流通・サービス業は商戦まっただ中であり、早帰りを強く促すこと自体が難しい。

鉄道業の人事部長もPFの困難さについてこう話す。

「われわれはPFで早帰りするお客さまを運ぶほうだし、グループ企業に小売・サービス業を抱えています。PFに関してはデスクワークに従事している社員に半休やフレックスタイムを使って帰れますと啓発していますが、それ以上は強く言えません。しかも月末金曜日は月次決算などで事務部門も忙しい。実際に早帰りしている社員は極めて少ないのが実態です」