方針を出す人の「権威を失墜させる」には

権威という観点で見ると、ブラック方針を出す人の「権威を失墜させる」という4つめの方法もあります。妄信している人に異常性を気づかせないといけないので、「あの会社の言うことは○○の受け売りだ」「あの人の資格や肩書は実は大したものではない」など、相手が欺瞞、詭弁を使っていると理解させるのです。

5つめとして、「仲間を用意する」ことが挙げられます。妄信から目を覚ました人や、妄信していない人を、当人の周りに置く。ブラックな環境では得てして、間違いやおかしいことを「周りのみんながあたり前に思っているから」と多数者効果が生じています。つまり、妄信者ばかりになって、異常さに気づけなくなっている。そうなると、冷静な誰か1人が一言指摘するだけでは効果は薄い。異常を指摘する「仲間」が当人の周りにたくさんいてはじめて、考え方は変わるのです。

ここまでくれば、あとは「自分で調べてもらう」ことです。他人から説得されるだけでは、また別の会社や上司にそれらしい話をされれば、コロッと信じてしまう。心の整理をつけるのは、最後はその人自身の役目。自己検証をすることで、ブラック方針に従うのはバカなことだと、目を覚ますことができるのです。

(構成=伊藤達也 写真=iStock.com)
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