基礎知識(1)
利回りだけでなくイールドギャップも

賃貸経営における指標の一つ「利回り」。「年間の収入/投資額(物件価格)」のことだ。1億円の物件を購入し、年間の賃料収入が800万円なら、利回りは8%になる。ただしこれは表面利回り。実際は税金や保険料、管理費などがかかるため、これらを収入から差し引いた実質利回りも把握しておく必要がある。

では、「イールドギャップ」についてはご存じだろうか。これは、「表面利回り(※1)──借り入れ金利」のことだ。この差を確保できれば、利益を残していける可能性が高まる。現在賃貸経営への関心が高まっている背景には、超低金利によってこのイールドギャップを確保しやすいという事情もある。

基礎知識(2)
持ち家率が低い地域で人口が増えている

総務省の住宅・土地統計調査(2013年)より

人口減少の時代に突入した日本。しかし、「だから賃貸経営は難しい」というのはやや短絡的だ。今後も、賃貸住宅に住む人がいなくなるわけではない。日本の持ち家率は61.7%(※2)だ。

さらにこの数字は、より細かく見ていく必要がある。61.7%はあくまで全国平均。地域によって大きな差が存在する。持ち家率全国1位は、富山の79.4%。では、最下位は? 答えは東京で、その数字は45.8%だ。以下、持ち家率が低い順に沖縄、福岡、大阪と続く。

人口減少といっても、当然全国一律で減っていくわけではない。実は、持ち家率が低い東京、福岡、大阪などでは、人口が増えている市区町村も多い。中長期的な人口動向をどう取り込むか。賃貸経営においては重要な視点だ。

基礎知識(3)
後から変えられない構造
何を選ぶかは重要テーマ

木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、建物の構造に種類があることはご存じのとおりだ。建物の構造は、基本的に後から変えるわけにはいかない。どの構造にするかは賃貸経営の最重要課題の一つだ。

ある程度、短期で投資を回収したいとなれば木造が選択肢に挙がる。木造の場合、減価償却費を多く計上することができるため、キャッシュフローを確保しやすい。

一方、鉄筋コンクリート造の強みは、耐久性や耐震性の高さなどだ。一般に3階建て以上になると、鉄筋コンクリート造の割合が非常に高くなる。当然耐用年数も長期となるため、長期的視点で賃貸経営に取り組みたい、相続を視野に入れている、といった人には向いているだろう。いずれにしても、数十年後をしっかりイメージして検討すべき大事なテーマといえる。

(※1)実質利回りで考えることもある。
(※2)総務省の住宅・土地統計調査(2013年)