お宝情報をキャッチするには、頭の中に“軸”が必要

新聞やネットの情報などは、浴びるように読んでいる。だが、すべて斜め読みなので、なんらかの意識や意図がなければ目の前を通り過ぎるだけだ。その中から自分にとってのお宝情報をキャッチするには、頭の中に“軸”が必要だ。

たとえば1年後、3年後、10年後のファミリーマートの姿を徹底的に考えてみる。組織をどうするか、ダイバーシティを重視すべきか、高齢化社会でコンビニが果たす役割は何かなどといった具合に大きなテーマが次々と浮かぶ。そうして延々と考えていると、互いに関係ないように思えていたものごとが、やがて収斂していく。それが“軸”となり、目の前を通り過ぎるはずの情報をキャッチできるようになるのだ。

本はどうか。仕事のノウハウやハウツーは、実践でしか得られない。だが、倫理観や人間の哲学を学ぶうえで、経営者に関する本や偉人の伝記は有益だ。松下幸之助さんの本は大好きだし、本田宗一郎さん、柳井正さん、デール・カーネギーさんなどに関する数多くの本に接してきた。

人間として、仕事人として、悩む時期は必ずある。そんなときに偉大な経営者の本から学ぶことは数多い。私は自己中心的な人間なので、本当に自分が幸せになりたいと考えている。「そのためにはまず、他人を幸せにできなくてはいけない」――そんなことも本が教えてくれた。

澤田貴司(さわだ・たかし)
ファミリーマート社長。
1957年生まれ。上智大学理工学部卒業後、81年伊藤忠商事入社。97年ファーストリテイリング入社、98年副社長。2003年投資ファンド「キアコン」設立。05年企業支援会社「リヴァンプ」設立。16年9月より現職。
 
(構成=小澤啓司 撮影=的野弘路)
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