住宅ローン完済が70代になると……

不要と思われる高額保険に入る人は少なくない。

「住宅ローンの金利は史上最低水準にあるが、昔借りた金利の高いローンのまま借り換えていない人も多い。借入先の銀行で金利を下げてくれるよう交渉する手もあり、手間もかからないが、それさえしない」(同)

その結果、住宅ローン完済が60代後半~70代だと、年金からの返済が家計をひっ迫させる。

「年収が高い人は、面倒なことをすべて丸投げしがち。医師にもそういう人が多い」(同)のは、グラフで1000万円以上の余裕ナシ世帯のBの比率の大きさからもうかがえる。

いや、わが家はかなり節約している……という人は落とし穴にはまっていないか。家計に詳しいファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏は、「食べたいものを食べないなど、家族が幸せを感じない節約はしてはいけない」という。長続きしないし、ひずみが生じるからだ。我慢しすぎて、特定のことに青天井でお金を使ってしまう「行きすぎたメリハリ家計」が増えている。

「たとえばジャニーズのコンサートに年間60万円使う主婦、フィギュアに月5万円使う夫。メリハリはあってもいいのですが、これでは別のものを節約しても意味がありません」(畠中氏)

趣味性の高いものは上限を決めて管理することが大切だ。

「余ったお金だけでがっちり貯められた人など見たことがない。まず先に貯蓄する額を決めておかなければ、老後が貧しくなるのは明らか」という菅井氏の言葉を肝に銘じたい。現在は赤字でも家計簿をつけることで解決策は見出せるはずだ。

菅井敏之(すがい・としゆき)
元メガバンク支店長。コンサルタント。1960年生まれ。83年学習院大学卒業、三井銀行(現・三井住友銀行)入行。東京・横浜で支店長。48歳で退職、起業。アパート経営のほか都内で喫茶店を営む。資産形成や住宅・保険の選び方などで講演・セミナー多数。著著に『金の卵を産むニワトリを持ちなさい』『お金が貯まるのは、どっち!?』ほか。
 

畠中雅子(はたなか・まさこ)
ファイナンシャルプランナー。2000年、駒澤大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。大学時代よりフリーライター、1992年ファイナンシャルプランナー。各メディアに連載多数。セミナー、講演、個人相談など。著書に『サヨナラ お金の不安』『ひきこもりのライフプラン――「親亡き後」をどうするか』(共著)ほか。
 

長崎寛人(ながさき・ひろと)
ファイナンシャルプランナー。1963年、長野県生まれ。NPO法人日本FP(ファイナンシャルプランナー)協会会員、CFP認定。国内銀行、外資系損害保険会社を経て保険代理店を経営。その後、介護スタッフとして障がい者施設や高齢者介護施設などに勤務、介護に特化したFPに。著書に『脱・老後破産マニュアル』。
 
(撮影=加藤ゆき、石橋素幸、永井 浩)
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