理想の父親のありかたは“イクメン”だけなのか

ここまで母親の存在感が増し、母子の距離が近づいているという話をしてきましたが、父親についてはどうでしょうか。

実は、「お母さんのような人と結婚したい」男の子が増える一方で、「お父さんのような人と結婚したい」女の子は07年から減少しています。「将来結婚したい」という子は男女ともに8割以上となっているのに、父親にとっては悲しい結果です。これは、会社でも家でも働く母親と、家事をしない父親という構図を日頃から見ていることが影響しているのではないでしょうか。

「結婚後に専業主婦になりたい」女の子は97年には6割だったのが、17年には4割程度と半分を切っており、半数以上の女の子たちが将来は自分も働くのだと考えていることがうかがえます。そのなかで、家事をあまり手伝わない父親の姿は、理想の結婚相手としてとらえにくいのかもしれません。世界の他の国々と比べても、日本の男性の家事分担率はかなり低い水準にあると言われており、まだまだ改善の余地があることは確かです。

しかし、父親にできることは“イクメンになる”ということだけではありません。90年に20%強だった日本の自営業率は一貫して下がり続けており、子どもたちが父親の働く姿を直接見る機会はますます減っています。加えて家庭で仕事の話をしない父親もまだ多く、父親がどういう人間なのか、子どもたちに伝わらないのも無理もありません。自分がどんなことが好きで、どんなことを考えているのか。そうした自己開示をこまめにすることで、ひょんなことから共通点が見つかり、会話がはずむかもしれません。そうした小さなやりとりの積み重ねは、子どもたちとの距離を近づけるきっかけになるはずです。

十河瑠璃(そごう・るり)
博報堂 生活総合研究所 研究員。2013年博報堂入社。博報堂DYホールディングス及び博報堂DYメディアパートナーズにて経理業務に従事し、2016年より現職。生活者の消費動向や子どもの意識・行動変化の分析に携わる。