3秒で鼻から息を吸い、8秒ですぼめた口から吐く

さらにいいのは、「今はこうだが、あのころはこうだった」というように、現在と過去を比較し、現在の自分を相対的にとらえ直すことができることだ。

「普通に生活していると、目の前のことで精一杯。昔のことを思い出す余裕はありません。定期的に懐かしい曲を聴いて、脳のコンディションを整えるようにしてください」(加藤先生)

心理学者●諸富祥彦氏

「イライラしているな、と思ったら、それを無理に抑え込もうとするのではなく、『今、自分はイライラしている』と認めるようにするといい」

と言うのは心理学者の諸富先生だ。今の世の中は便利になりすぎて、人々の欲求不満耐性が下がっている。不満を自分の内側にためておくことができず、ちょっと不便なことがあるだけで、いらだつ人が増えているのだという。

そこで、森田療法(※)の考え方を、「イライラする気持ち」にも応用してみる。

「感情は抑え込もうとすると逆に大きくなります。『イライラしないようにしよう』ではなく、『ああ、自分は今イライラしているな』とちょっと離れたところから眺めるようにして、その感情を認める。それからそれを受け流す練習をしましょう」

具体的には、可能ならすぐにその場を離れること。場所が変われば気分も変わるからだ。そして、鼻から3秒かけて息を吸い、すぼめた口から8秒かけてゆっくりと吐く。

「これを完全呼吸と言います。感情コントロール法のひとつです」(諸富先生)

種類は何でもいいので、自分の好きなアロマオイルをオフィスの引き出しに常備しておき、その香りを嗅ぐのも即効性がある。イライラが頂点に達しそうになったらトイレに行くふりをして席を立ち、完全呼吸をしつつアロマオイルを嗅ぐ。ぜひ覚えておきたい。

(※)細かいことを気にしすぎる人に向かって、「気にするな」と言うのではなく、気にしていることを認め、それでも日常生活でやるべきことを淡々とやらせるという治療法

加藤俊徳
医学博士。加藤プラチナクリニック院長。「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。1万人以上のMRI脳画像とともにその人の生き方を分析する。
 

諸富祥彦
心理学者。明治大学文学部教授。臨床心理士。千葉大学教育学部講師、助教授を経て現職。中高年を中心に仕事、子育て、家庭関係などの悩みに耳を傾けている。
 
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