維新との合流は自公に対抗するのが目的だった

【塩田】前原さんは3年前の2014年6月に読売テレビの番組で「将来、維新と合流する可能性は」と聞かれ、「100%」と発言して話題を呼びました。

【前原】維新との合流ではなく、橋下徹さん(前大阪府知事・前大阪市長)と一緒にやるのが 100%なんです。今もメールをやり取りし、一緒に食事もしています。今回の私の決断にもエールを送ってくれています。

私が鳩山由紀夫内閣の国土交通相のとき、大阪府知事だった橋下さんと協力して関西空港と伊丹空港の運営統合をやった。非常にケミストリー(相性)が合う。

維新にはいろいろな方がいる。やんちゃな松井一郎代表(大阪府知事)、その懐刀としてしっかりとまとめる役をする馬場伸幸幹事長(衆議院議員)はなかなかの人物です。

ですが、私は何よりも橋下さんです。一番は発信力、突破力、実行力です。ご自分のことがよくわかっていて、「組織をまとめる、議員の面倒を見るという親分の役割は自分にはできない。それは松井さんにやってもらっている」といつも言います。ただ、人気はありますよ、今でも。私が「100%」 と言ったのは、自公に対抗する大きな家を造るのが目的でした。今回、大きな家になり損ねましたが、まだその途上です。今後、チャレンジするとき、維新とやるかどうかは別ですが、橋下さんとは連携して一緒にやっていきたいという思いがある。橋下さんは今、維新とは一線を画しています。これからどういう形があり得るか、連合ともしっかり話をしながら、見極めていかなければと思っています。

【塩田】橋下さんの政界復帰、国政進出の可能性をどう見ていますか。

【前原】あるんじゃないですか。いつかはわかりませんが。

【塩田】橋下夫人が政界復帰にブレーキをかけているという話も耳にします。

【前原】それは本当ですよ。私は橋下さんとは家族ぐるみの付き合いで、奥さん同伴でよく4人で食事をします。橋下さんは子供が7人いて、一番上がちょうど大学に行き始めた。やはり稼いでもらわなければいけない。大阪の知事と市長のとき、報酬を半分にした。「とてもじゃないけど無理」と奥さんが半分、冗談めかして愚痴をこぼしていました。でも、最後は橋下さんの判断だと私は思いますけどね。

【塩田】これからの政治で、前原さん自身はどんな役割を担っていくお考えですか。

【前原】まずは希望の党のスタートです。玉木代表を始め、執行部をしっかり支える。

来年か再来年かわかりませんが、将来、政界再編が必ずきます。そのためにしっかりと人脈を耕したい。政治は可能性の芸術ですから、与野党のキーパーソンとの人間関係が必要です。今までも培ってきましたが、政治家以外の方も含めて、ネットワークをつくっておくことが大事かなと思います。党の代表は放電するだけですが、これからは充電をしっかりやる。同時に、初当選以来、24年間でうまくいったこと、いかなかったこともすべて経験として自分の体に染みついています。将来を見渡す中で、それを生かしていきたい。

【塩田】2018年、日本の政治が取り組むべき課題は何だと思いますか。安倍首相は憲法改正に挑戦する気構えのようですが。

【前原】憲法改正ではありません。私は日本が土台から崩れ始めている気がする。若い人たちが結婚しない。結婚しても子供を持てないような社会です。一方、「人生 100年」といわれている中で、お年寄りは将来の不安におびえています。教育の土台も危ない。財政面でしっかり手当てしながら、日本の構造をどう支えていくかが大事です。来年は机上の議論だけでなく、自分で現場を回る。日本全体で何が起きているかをつぶさに見て、「オール・フォア・オール」の考え方を補強し、迫力をもって話せるようにしたい。

【塩田】最後に第4次内閣を迎えた安倍政権をどう見ていますか。

【前原】私は見かけほど盤石ではないと思っています。自民党の人たちもわかっていると思いますが、崩れ始めると、意外と脆い政権では。ただ総選挙に打って出て勝ったので、来年9月の自民党総裁3選は固いと思います。問題はその後です。心配なのは、北朝鮮の問題と、カンフル剤を打ち続けて株価を高くしているだけの経済です。構造問題を先送りにしていますので、オリンピックの景気が息切れしたときに調整の時期が必ずくる。それに備えて、別の選択肢をしっかりと示しておくことが大事かなと思います。

前原誠司(まえはら・せいじ)
前民進党代表・元外相・衆議院議員。1962年(昭和37)年4月、京都市左京区生まれ(現在、55歳)。京都教育大学附属高校、京都大学法学部卒。松下政経塾に第8期生として入塾。90年に28歳で京都府議に。92年に日本新党の結党に参加。93年の総選挙で旧京都1区から出馬して初当選した。現在9期目(現京都2区)。96年の総選挙から民主党に。2005年9月から06年4月まで民主党代表を務め、民主党政権の発足で鳩山由紀夫内閣の国交相(09年9月~)、菅直人内閣の外相(10年9月~11年3月)、民主党政調会長(11年8月~)、野田佳彦内閣の国家戦略担当相(12年1月~12月)を歴任した。17年9月に民進党代表となったが、10月の総選挙の後に辞任し、離党して希望の党に入党した。鉄道ファンで、時刻表マニア。SLの写真撮影が趣味。著書は『日本を元気にする地域主権』(PHP研究所刊)など。
(撮影=尾崎三朗)
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