希望と維新の合流は政策・理念の一致が条件

【塩田】希望の獲得議席は、立憲民主にも及ばず、前原さんを含まずに50でした。

【前原】一言で言うと、よく50で踏みとどまったなという感じです。ですが、比例区の得票を見ると、1年前の参院選での得票は自民2011万票、民進1175万票だったのに対して、今回の総選挙での総得票は自民1856万票、立憲民主1108万、希望 968万で、立憲と希望の合計は2076万です。一緒にやっていたら、と思います。自民党が勝ったというよりも、われわれの内部分裂で、小選挙区制度で勝てなかったという感じです。

【塩田】小池さんは総選挙の後、玉木雄一郎さんが共同代表に選出されたのを見届けて代表を辞任しました。現在、小池さんを政治リーダーとしてどう評価していますか。

【前原】代表辞任のとき、電話があり、「玉木さんに任せたほうがいいのでは。自由にやってもらって、われわれでサポートしましょう」とおっしゃったので、「それでいいのでは」と申し上げた。完璧な人間はいないと思いますが、都知事選に打って出た勝負勘、リスクを取る胆力、都議選での風の起こし方など、私は今でもなかなかの政治家と思っています。今回、小池さんは一番割りを食ったと思いますが、これでへこたれる方ではない。

【塩田】前原さんは選挙後、民進党代表辞任、離党、希望入党を決めました。

【前原】当初は、衆議院の候補者は全員、希望で戦い、選挙後にそのまま残していた民進党の参議院議員と地方組織も希望へ、という計画でした。民進党を離党すれば代表ではなくなるので、選挙は無所属で戦い、選挙後もしばらく残ったのは、参議院議員と地方組織をどうするか、決めるためです。希望への合流は白紙にして、民進党と地方組織を残すと決断し、党の両議院議員総会、全国幹事長会議で取りまとめて辞任しました。

私の希望入党は、代表選が始まって「代表選の有権者は国会議員53人で確定」という手続きを行いましたので、ちょっと待ってくれという話になりました。入党の手続きは新執行部でというのが暫定執行部から回答で、それに従いました。

【塩田】分裂した野党は今後、どんな方向を目指すのがいいと思いますか。

【前原】総選挙が終わったらもう一度、元の鞘に戻ればいい、と言った人もいますが、国民をばかにした話です。数合わせで考え方が違うところと組むと、今までと同じになる。立憲民主と希望は色合いが違う政党です。希望は、外交・安全保障政策は現実路線で、憲法問題もタブーなく議論する。内政では自民党の「自己責任型社会・小さな政府」ではなく、「オール・フォア・オール」で不安のない支え合いの社会をつくる路線です。

立憲民主も希望も、コンパクトになった分、考え方が近い人が集まっているので、筋肉体質になったと思う。それはいいことです。その上で、切磋琢磨する。参議院と地方組織がある民進党とも、連合と連携しながら、どう切磋琢磨するかが重要になる。参議院の民進党は向こう1年くらい、どんな器でやるかを考えると思う。連合が抱える12産別労働組合出身の参議院の比例代表候補は、党名でなく、個人の名前を書かせる選挙です。どの党に所属するかわからないけど、個人の名前を浸透させる活動を徹底してやっていただく。

来年以降、どういう器ができるのか。2019年に統一地方選と参院選があります。基本的には分かれた4つが協力することが必要と思います。小沢先生が唱える「オリーブの木」のような形か新党になるかはわかりませんが、今は切磋琢磨することが大事です。

【塩田】日本維新の会との関係ですが、希望と維新の合流はあり得ますか。

【前原】一つの選択肢であることは間違いないと思います。合流となると、政策・理念が本当に一致するかどうかです。「身を切る改革」の維新は、削るばっかりで小さな政府路線だったら、われわれとは違う。ですが、大阪都構想には私は反対ではありません。一度やってみればいい。もう一つはわれわれの最大の支持団体である連合との関係です。連合大阪は維新と決定的に対立している。現時点では連合は維新と組むことにきわめてネガティブです。連合の意向も加味し、相談しながら、慎重に検討する必要があります。

【塩田】総選挙の前、希望は維新とも協議を行い、足並みを揃えました。

【前原】私はそれにはまったく関与していません。総選挙で大阪を全部、維新に渡すことについては、聞いていなかったので、こちらがかなり押し返した面もありました。