発売以来「味」は変えていない

「九州は、もともと“とんこつ味の文化”です。最近の博多とんこつラーメンは濃厚さを売り物にした商品もありますが、うまかっちゃんは、そうした濃厚さはない。実は1979年の発売時から、味はまったく変えていません。当社商品の中でも珍しい例です」

ハウス食品の長江隆司氏(事業戦略本部・食品事業二部ビジネスユニットマネージャー)はこう説明する。消費者からも「昔ながらの味がいい」と言われるという。

「味の特徴は、スープが主張しすぎず、何にでも合わせやすいことです。定番のねぎ、紅しょうが、ごまや、さまざまな具材を入れても楽しめます。九州出身の方からは『必ず家にある』『土曜のお昼はこれだった』という、うれしい声もいただきます」(同)

九州内でさらに細分化し、地域色を出した派生商品を展開している。(画像提供:ハウス食品)

現在は定番商品のほか、さまざまな派生商品も展開する。たとえば、「うまかっちゃん〈熊本 火の国流とんこつ 香ばしにんにく風味〉」、「うまかっちゃん〈博多 からし高菜風味〉」「うまかっちゃん〈久留米風とんこつ〉」、「うまかっちゃん〈黒豚とんこつ 鹿児島焦がしねぎ風味〉」といった地域色豊かな商品もある。かつては「うまかっちゃん 宮崎名物鶏の炭火焼風味のとんこつしょうゆ味」も出していた(現在は販売終了)。

「最も人気が高いのは定番品ですが、一方で『違う味も食べたい』という消費者心理もあります。熊本ではにんにく系が人気で、鹿児島なら焦がしねぎが好まれるといった地域性や、時代性を見据えて新しい味も出してきました。その陰で、長崎県を意識した『うまか皿うどん』など、成功しなかった商品も多くあります」(同)

1998年からは、ほぼ毎年、期間限定品や新商品を出してきた。こうした“地元っ子に寄り添う姿勢”も支持を集めるのだろう。