新しい学習のやり方に共通すること

アクティヴ・ラーニングでは、こうして、1つの問題意識から、さまざまな分野に関心が広がっていく。よいコーヒー豆が取れる自然環境を調べれば、地理の知識が身につくし、品種や栽培技術は生物学の問題である。コーヒー豆の価格や流通からは、世界経済が見えてくる。ローストの技術は、化学や物理学の問題へとつながっていく。

このやり方では、興味や関心が偏ってしまうのではないかという懸念があるかもしれない。しかし、さまざまな調査によって、教室で一斉授業を受ける子どもよりもアクティヴ・ラーニングを通して学ぶ子どものほうが標準的なテストの点数はむしろ高いというデータがある。さまざまなプロジェクトを行えば知識は網羅されていくし、能動的に学ぶことで、学習の効率が高まるのである。

アクティヴ・ラーニングをはじめとする新しい学習のやり方に共通しているのは、一人ひとりが、自らの個性や方向性に沿って学びの方法を工夫することである。そして、そのようなやり方では、「学ぶこと」と「社会で役に立つこと」が接近していく。

コーヒー豆について調べることは、メーカーやショップの担当者がビジネスでやることとほとんど同じである。1つの課題について、自ら仮説を立て、情報を集め、時には独自のアイデアを織り交ぜつつレポートを書いたり、プレゼンをしたりするといった学びは、ビジネスそのものと言ってもよい。

アクティヴ・ラーニングのような能動的なやり方は、現代の情報化社会にマッチしている。子どもたちから大人まで、自らが計画を立てて学び続けることの大切さが、これからますます増大していくように思う。

(写真=PIXTA)
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