「学ぶこと」と「社会で役に立つこと」はイコール

ビジネスの現場からは、しばしば、学校の勉強は役に立たないなどと言われる。産業界からは、もっと仕事で役に立つような教育をやってほしいと要請される。

あなたは、どんな問題に興味があるだろうか。(PIXTA=写真)

大学のあり方についても、さまざまな議論が行われている。もっと実践的なことをしないと意味がないと断言する人もいる。一方で、社会ですぐに役立つようなことをするのが学問の目的ではないと反論する大学人もいる。

一体、学ぶことの目的とは何か? そもそも、学力とは何か? さまざまな意見が飛び交う中で、教育の未来についても、不透明感が増しているように思われる。

私は、「学ぶこと」の目的についての以上のような混乱は、脳にとっての学習の意義をその本質において考えれば、自然に解消されると考えている。そして、突き詰めて考えれば、「学ぶこと」と「社会で役に立つこと」はイコールであるとさえ考えるのである。

最近、アクティヴ・ラーニングという概念が注目されている。学習の課題を自ら見つけて、自分のペースで計画し、調査することや研究することを積み重ねて、具体的な成果物にしたり、発表したりすることで学ぶという方法である。

たとえば、美味しいコーヒーを淹れるにはどうすればよいか、という問題に興味を持ったとする。そこから、さまざまな課題に視野が広がっていく。よいコーヒー豆はどんなもので、どこで収穫されるのか? コーヒー豆をローストするやり方は、何が1番いいのか? 淹れ方は、ドリップがいいのか、水出しがいいのか? 「美味しいコーヒーを淹れる」という命題に関係するポイントは、無数にある。