日々の生活のなかで、理不尽だと感じることはありませんか。法律の知識があれば、解決できるケースもあります。雑誌「プレジデント ウーマン」(2017年9月号)の特集「1時間でわかる法律相談」では、9つの身近なトラブルについて4人の専門家に相談しました。今回は「内部告発」について――。(全9回)
▼同じ部署の男性社員が、ランチ代を「接待費」で落としていた
豪華なランチに誘われて、「黙っていてくれるよね」と口止めされました。おごってくれたのですが、取引先との接待費で落としていたことも後からわかりました。私は派遣社員なので、派遣仲間からは「派遣期間が終わったら職場は変わるし、この会社は上場もしていない。自分の身が危うくなるだけだから、見て見ぬふりが1番」と言われました。でも、部署の上司はとてもいい方で、上司の立場が危うくなってしまったら? 知っていたのに言わなかったことで自分が共犯にされたら? と思うと不安です。

▼答えてくれたのは……一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会の方々
協会代表理事・FP 鬼塚眞子さん/弁護士 丸尾はるなさん/弁護士 山岸潤子さん/税理士 林 良子さん


故意でなければ犯罪にはならない

【山岸】ランチを会社経費でおごられてしまったことに関して、刑罰が科せられるかですが、おごってもらったときに横領金と知らなかったのであれば、故意ではないので犯罪にはなりません。

また会社に対しては「公益通報者保護法」があります。これは「法律違反を見つけたときには通報しなさい、通報しても不利益は受けませんよ」というもので、派遣社員であっても適用されます。密告ではなくて正式な報告ですから、派遣先に伝えたほうがいいでしょう。

【丸尾】同僚と近しい仲なら、「罪を反省して会社に頭を下げなさい」と説得できるかもしれませんけど、ご自身が派遣の立場だと気を使いますよね。派遣元としては派遣先の労働環境がちゃんとしているか調整する義務がありますから、派遣元には相談したほうがいいでしょう。もし会社側に報告が伝われば、「不正を見つけてくれてありがとう」と感謝するはずです。