静かに「着替え」の時を待つのもリーダーシップ

ここで最初の質問に戻りましょう。「リーダーシップって、本当に『着替える』ことができるのですか?」というもので、答えは「できる」。ただし、ここまで述べてきたように、「仕事の状況」が求めるリーダーシップと、「部下の状況」が可能にするリーダーシップが一致したときはじめて、上手に「着替える」ことができるのです。

逆に言えば、自分で「着替える」と決心しても、「部下の状況」がマッチしないと上手に着替えることはできません。そんなときは、リーダーシップの着替えを一時的に諦めるのも当然「あり」です。安倍首相は、自分のとりたいリーダーシップスタイルをとるまで、5年間も待ちました。それを思えば、異動や転職が当たり前のビジネスの場の待ち時間なんて、ごく短いものです。その間、部下の状況を見極める目を養う時間と考えればいいでしょう。

木田 知廣 (きだ・ともひろ)
シンメトリー・ジャパン代表、米マサチューセッツ大学MBA講師。人事コンサルティングファーム、ワトソンワイアットにて活躍した後、ロンドン・ビジネススクールにてMBA取得。帰国後は「グロービス経営大学院」の立ち上げをゼロからリードし、前身的なプログラムGDBAを2003年4月に成功裡に開校させる。2006年シンメトリー・ジャパン株式会社を立ち上げ、リーダーを育成したい企業向けに研修を提供中。アダットパートナー講師。
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