サンフランシスコ、上海に直営店をオープン

今年の3月には、アメリカで最も食事にお金をかける地域と言われているサンフランシスコに、直営店とレストランをオープンした。このレストランでは、ソバと常陸牛を提供している。なぜソバと牛なのかというと、ここにも木内酒造ならではのストーリーがある。

「うちの畑では、日本の原種麦・金子ゴールデンを収穫した後に、ソバを植えています。というのも、麦を収穫した後のやせた土でもソバは育つということで、茨城では昔から麦の裏作でソバを作っていたんですよ。また常陸牛には、ビールを造る際に出る麦のくずを食べさせて育てている。つまり、ビールにまつわるソバと牛の料理を提供しているわけです」

サンフランシスコの直営店では、常陸牛と茨城県産のそばを提供している。

サンフランシスコで当たれば、より世界基準で勝負できると木内さんは言う。このレストランは、常陸野ネストビールの世界的PRの役割をも果たしているのだ。

さらに今年の10月には、上海にも直営店をオープンした。今後は欧米だけでなくアジア進出も目指すという。常陸野ネストビールの勢いは止まらない。

「伝統×革新」相反する2つの掛け算が、世界の人々を魅了する

ここ数年のクラフトビールのブームに乗じて、新規参入する醸造所も増えている。しかし木内さんは、安易な参入には否定的だ。

「そんなに甘いもんじゃないですよ。うちの会社では日本酒は約200年、ビールは20年以上作っている。地道に生産技術の研究を積み重ねた歴史があって、今があるんです。やっぱりひとつひとついいものをきちっと作り続けていくことが、モノづくりの原点だと思います」

200年続く老舗の伝統を受け継ぎながら、革新的なオリジナリティーに挑戦する木内酒造。「伝統×革新」という、一見相反するこの2つの掛け算こそが、世界の人々に愛されるゆえんなのだろう。