空き家特例とのダブル利用も

最近では、経済的な理由や家事および育児の負担軽減を理由に2世帯住宅を建てる人たちが増えてきました。そこで2つ目のポイントとして、2世帯住宅に親と一緒に住むケースはどう準備するのでしょうか。

このケースでは、その形状が問題になってきました。13年までは、構造上、内階段のないものは同居と見なされませんでした。しかし、14年以降は要件が緩和され、こうした違いには関係なく適用対象になりました。

ただし、各戸の所有権登記によって特例適用の扱いが異なることに注意が必要です。親が所有する敷地に建てた住宅を、親名義と子ども名義に区分所有していると同居にはならず、親名義の部分にしか特例は適用されません。相続を念頭に置くのなら、共有名義にしておくことをお勧めします。

3つ目のポイントとして面白いのは、「家なき子」の場合です。もしも被相続人の親が1人で住んでいて、その親が亡くなって相続した場合は、この特例に加えて、16年4月1日からスタートした「空き家にかかる譲渡所得の特別控除」の特例も合わせて受けられます。

子どもは仕事の都合などで、相続した家に戻るというわけにはいかないことが多いでしょう。それであれば、申告期限まで所有して、まず今回の特例を受けます。その後、空き家のまま、相続発生の年から3年後の年末までに売却すれば、その譲渡所得について3000万円が控除されることになるわけです。

Answer:まずは小規模宅地の特例で評価額を80%減らそう

柴原 一(しばはら・はじめ)
税理士。税理士法人柴原事務所代表社員。1957年生まれ。86年、税理士登録。相続税に精通し、編著書『知っておきたい空き家の税金』をはじめ著書多数。
 
( 構成=岡村繁雄 撮影=宇佐見利明)
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