より大きな脅威はシェアリングや自動運転

メーカーの人と話をすると、「言われてみればそうですね」というのが最初のリアクション。「我々はEVとPHVは違うモノだと思っていました」「PHVはHVの延長と考えてました」「EVでは今はお客さんが買ってくれないと思います」というのが大方の声だ。

「内燃機関がメーンではなく補助的になるなんて、技術者の上役が全員内燃機関出身のウチの会社ではとても大声で言えません。大前さん、トップに言ってくださいよ」という声もあった。少し頭を整理すればトヨタのようなPHVメーカーのポジションは悪くないわけで、EVシフトにおたおたする必要はない。「PHVこそユーザーが安心できる最良のEV」と政治家や役人にもっと働きかけるべきだ。

自動車メーカーにとってEV化の真のインパクトは部品点数が4割減になって一気に人余りになること。長年かけて構築してきたサプライチェーンの崩壊が懸念されることだ。さらに影響が大きいのは車を買う人が激減するシェアリングへのシフトである。都心ではクルマの維持費は月10万円近いが、カーシェアリングを利用すれば月額数万円で済む。ということで車を買わない人たちが増えていて、シェアリングが究極的に定着した場合、車の販売台数は7割減るという試算もある。

論点を整理すればEV化は日本の自動車メーカーの命取りにはならないと私は思っている。その外側にクルマメーカーにとってはより大きな脅威であるシェアリングや自動運転といった大問題が待ち構えていることを理解しておくべきだろう。

(構成=小川 剛 写真=AFLO)
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