ホテルは自分を表現、演出する道具

ちなみに、パリにはリッツのような最高級ホテルがいくつかあり、代表格である4軒の「よくいわれる客のタイプ」が面白い。少し古い話ではあるが、参考までにご紹介する。

・リッツ……(成金タイプの)リッチ・ピープル
・クリヨン……政治家、高級官僚
・ブリストル……高級ビジネスマン、企業家
・プラザ・アテネ……芸能人、ファッション関係

これほど、ホテルによって感じる人々のイメージが違うのである。

良いホテルに泊まるメリットは、宿泊の快適性を買うだけではない。自分の思うランク、好みのブランドとホテルを選択して楽しみたい。また、ビジネスの交渉のテクニックとして、ホテルを活用する手もある。

たとえば、目上にあたる取引先の社長との打ち合わせに臨むのであれば、少し無理してでも「自分には少し上のランクかな」と思えるようなホテルに宿泊し、そのラウンジにお連れする。そうすれば、取引先の社長も「自分にあわせたランクのホテルに打ち合わせの場所をセッティングしてくれた」と、悪い気はしないはず。おもてなしのテクニックとして、なかなか上級だと僕は思うのだが、どうだろう。

このようにホテルは、ビジネス上では自分を表現、演出する道具になりえる。高級自動車や高級腕時計に比べればずいぶん安い投資だと思うのだが、いかがだろうか?

(イラスト=富田茜)