夫の無関心が攻撃的な妻を生む

妻という立場から女性を見ると、その揺らぎやすさはさらに増す。

「自分の評価を、子どもや夫の出来を通じてしか測れない専業主婦もいる」と牛窪さん。さらに、職場でもママ友などの地域コミュニティでも、女性同士で激烈な対立を見せる妻は、夫婦が不仲な場合が多いと続ける。パートナーからの関与や承認がないと、女性はほかの女性に矛先を向けることで自己評価を確認する傾向が強いのだ。

自己承認欲求が歪んだ形で花開いてしまうのは、寂しさゆえ、寄る辺のなさゆえともいえる。SNSはその欲求を満たす手段の好例だ。しかしSNSによって救われる人もいれば、ストレスを溜めてしまう人もいるのだとか。

「SNSでは、夫や子どもの出来にかかわらず、素敵な料理を毎日頑張って作っているというようなことが、すごいね、いいねと見ず知らずの相手からも褒められる。すると、自己肯定感が持てて、救われるという女性も多いんです。半面、今の自分には手の届かないリア充的な幸せを見せられると、ストレスを感じる場合もあります」

とはいえ、女性的な対立が起こり、太い火柱が立つのもSNSならでは。牛窪さんは「SNSでの対立は、見ている側にとてもわかりやすく伝わる。そのため、同じような立場の人たちが参戦して煽るために、火の手が大きくなって炎上していくのが特徴です」とデメリットを指摘しつつ、「そこで燃えている人たちは、同じ感覚を持つ仲間と思い、吐き出し合えてもいるんですよね」と、同時にその効用も認める。

では、対立の渦中にある女性は、どのようにして脱出すればいいのだろう。「1つ目は、仕事と家庭以外の、第3の居場所を持つことです。趣味でもボランティアでも株式投資でもいい。この場所に戻ってくると、私という一個の人格に戻れると実感できることが大切です」と、牛窪さん。第1、第2の居場所に不満があっても、同じ価値観の仲間がいたり、これがあるから大丈夫と思える別の世界を持っていたりすれば、閉鎖的な空間から自由になれるのだ。

「2つ目は、自分以外のいろいろな人に興味を持つこと。自分とは異なる価値観の人を面白いと思って観察し、理解しようとしてみることで、人間観も一段と深まります。これからの時代、価値観ギャップは女性だけでなく、男性にも確実に広がっていく問題。『女同士で揉めてるな』ではなくて、自分にも降りかかるものと受け止めてほしいです」

▼まだまだある!「女子vs女子」
・現実志向vs夢追い志向
・フェロモン系vsさっぱり系
・都会出身vs地方出身
・実家暮らしvs独り暮らし
・仕事命派vsプライベート重視派
・ビジネスライク派vs気遣い派
・飲み派vsカフェ派
・貯蓄派vs散財派

牛窪 恵
世代・トレンド評論家、インフィニティ代表。「おひとりさまマーケット」「草食系」が、新語・流行語大賞に最終ノミネート。11月、『独身ファーストの時代(仮)』が発売予定。

 
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