書きなぐりメモから新発想が生まれる

「大銀座まつり」は、音と光のパレードが主体の煌(きら)びやかなイベントでした。それを今の時代に復活させるなんて予算的にもあり得ないと思い、「そんなのいいはずがない」と、紙にメモを書いては、その思いをコンサルタントにぶつけました。

途中、コンサルタントが何か言いづらそうな表情をしており、資料に目を戻してよくよく見ると、「大銀座まつり復活 それはない」と後に続く言葉があることに気付きました。

コンサルタントも私も大銀座まつり復活はないと考えていた。要は、ドジな私のまったくの勘違いだったのです。

その事実が判明してからあらためて紙に書きなぐっていたメモを見ると、「大銀座祭りを行った理由は何だったのか」「街に人を呼びたかったのか」「それとも街の人たちが1つにまとまりたかったのか」など勘違いした内容に対する私の問題意識が書いてありました。これはこれで、重要なのに今まで考えてこなかった問題だな、と。書き間違えたメモから、議論すべき新しい視点を得ることができたのです。

伊藤社長の流儀
1 仕事の際、よく「メモ」を取るか
よく取る。数字を間違えず、ストーリー仕立てを意識
2 「手帳」はアナログ派orデジタル派?
スケジュール管理はデジタル
3 手帳やメモを、見返すことがあるか
あまりない
4 メールを記すとき、注意することは?
できるだけ早く返事をする。送る前に文面を読み返す
5 年賀状以外に、手書きの「手紙」や「礼状」を書くか
書く
6 社会人になってから「日記」を書いたことがあるか
ある。特別のことがあると10年連用日記に記す
7 自分だけの「虎の巻」をつくったことがあるか
試みたが、さほど必要ないと感じた
伊藤 明(いとう・あきら)
1964年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、工業デザインを学ぶため渡米。92年伊東屋入社。2005年より現職。経営だけでなく、店舗のインテリアデザインやオリジナル商品開発も手がける。
 
(構成=Top Communication 撮影=竹中祥平)
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