自分の意思が伝わらない文は相手に非礼

手紙文が典型ですが、文章には本来の用件のほかに時候の挨拶など、別の要素が入ります。また、礼儀を踏まえて婉曲な言い回しをすることも少なくありません。しかし、文章を書く以上、そこにはお礼を述べるとか、質問に対して自分の意見を伝える、依頼に対してお断りを入れるといった目的があるはずです。

マネックス証券 社長 松本 大氏

たとえばお断りの手紙なら、「断る」というこちらの意思をはっきりと相手に伝えること。遠慮して長い文章を書き連ね、一読しただけでは引き受けるのか断るのか判別できないようでは、何のための手紙なのかわかりません。

受け取ったときに困るのは、長文でしかも言いたいことがわかりにくいメールです。一見して「時間がないから読んでいられないかも」と判断したら、意識から追い出してしまうことになりかねません。

▼不要と感じたものは「ゴミ箱」に

厳しいことを言えば、そんな文章を読ませるのは、相手の時間を無駄にしてしまうことだと思うのです。社会でそれなりの仕事をしている人は例外なく多忙です。彼らの時間を無駄に使わせるのは1番の非礼ではないかと私は思います。メールを出すときは、少なくとも相手が短い時間で用件をきちんと理解できるように工夫をするべきですよね。

いま私は、毎日膨大な数のメールを受け取っています。ただ、忙しい方なら誰しも同じだと思いますが、メール処理に何時間もかけることはできません。そこで一瞥して不要と感じたものは「ゴミ箱」に放り込むことにしています。

そのためにうっかり重要なメッセージを消してしまったこともあるはずです。しかし多くの人は、そのリスクをあらかじめ承知したうえでメールを利用しているのではないかと私は感じています。いまの時代、「メールは読まれないこともある」と割り切ることが大事です。

出したメールに返事がなければ、うっかり消されたのかもしれませんし、書き方が悪くて伝わらなかったのかもしれません。こちらから送った大事なメールに返事がなかったら、私はメッセンジャーなりSMSで一言、念押しするようにしています。