同じ判断を2度しないようにする

決断を速くするには、「同じ判断は2度しない」ということも重要です。たとえば買い物でAかBか迷ったあげく、いつもAになってしまうということがあるなら、それはルールとして最初からAを選ぶというふうにしたほうが決断は速くなりますし、満足度もむしろ増える傾向にあります。

本を買うかどうかといった悩みも「2000円以下の書籍は自動的に買う」というルールにしておけば、決断を減らすのに効果があります。

決断を速くすれば、もっと決断ができるようになります。小さなことでも決断の速度を加速させることが、大きな判断の素早さも決めるようになるのです。

テーマを決めて、歩きながら考える

歩きスマホが、いまは大きな問題になっています。スマートフォンの画面に集中したまま歩いて他の人や物にぶつかるばかりではなく、電車のホームから落ちる人もいるほどです。

目的地に向かって一心に歩いている時間はどこか生産性が低い気がするので、スマートフォンで友人とのやりとりをしたり、動画の続きを見たくなったりする気持ちは理解できます。しかし歩いている時間はもっとアクティブな考え事の時間にもできるのです。

プラトンやアリストテレスらが歩きながら講義し、議論したことから逍遥学派と呼ばれ、ニーチェもルソーもカントも歩くことと思想とを結びつけていたことからも知られる通り、歩くことは考えることと等しいのです。

とりとめもない考えを広げながら歩くのも楽しいですが、もっと集中した考え事をしたいならば、「テーマを決めて歩く」という習慣がおすすめです。

まず、出発時に「これから目的地まではこのテーマについて考える」と決めておきます。これから書こうとしているブログ記事について、最近あったニュースについての感想、人生についての悩みなど、なんでもかまいません。

歩いている最中はそのテーマだけについて考えます。ときおり信号で立ち止まったり、ホームで電車を待ったりしているときだけ、スマートフォンを取り出してメモをしてもよいですが、それ以外の時間は考え事に集中します。

たったこれだけのルールでも、1つのテーマに集中して考えることによって歩いている時間は豊かな知的活動の時間へと変化します。

慣れてくると、歩きスマホをする時間が逆にもったいなくなってくるはずです。