展開編 東京急行電鉄
都や国を巻き込んだウォーキングイベントを計画

「『人の成功と失敗の分かれ目は、第一に健康である』と創業者の五島慶太は言っています」(下田)

毎年10月頃開催のウォーキング大会は700名程度が参加。

その言葉通り戦後に東急病院を設立し、社員の健康管理に注力してきた東急電鉄。健康経営への本格的な取り組みは2015年からになる。16年2月には現副社長がCHOに就き、従業員の健康とともに沿線住民の健康を充実させる目標を立てて健康宣言を制定した。健康経営の重点施策として、「がん対策」「メンタルヘルス対策」「生活習慣・運動対策」の3つを掲げる。

生活習慣・運動対策は、駅ごとに社員の肥満度を表すBMIを調べ、数値の悪い駅をピックアップ。職場対抗で半年間のプログラムを行うと、肥満社員には一定の効果があった。一方、半年間の間に「参加者に中だるみもあった」(小松原)と反省する。

そこで16年秋から、日々、歩く習慣を身につけるためにウォーキングの推進に注力。職場対抗で部署ごとに平均歩数と参加者数の両方を評価軸とするウォーキング選手権やウォーキング大会を実施した。

今年9月に開催されたウェルネコでも、最初に「ウォークビズ」と言いはじめた博報堂と一緒になって「FUN+WALK」のプロジェクトを進めている様子を発表。都やスポーツ庁を巻き込んでのムーブメントを渋谷から起こそうとしている。

平井孝幸
DeNA CHO室 室長代理/渋谷ウェルネスシティ・コンソーシアム理事長健康経営アドバイザー
2004年慶應義塾大学商学部卒業。OA業界の営業職、ゴルフのレッスンコーチを経て11年DeNA入社。人事部所属中の16年1月、CHO(Chief Health Officer)室を創設。
 

根岸久美子
ミクシィ 人事部企画グループ
 

下田雄一郎
東京急行電鉄 人材戦略室 労務厚生部 統括部長
 

小松原 岳
東京急行電鉄 人材戦略室 労務厚生部 労政課主事
 
(撮影=小野田陽一、小田駿一、市来朋久)
【関連記事】
DeNAが「健康経営」を推進する理由
年収を増やしたければ長時間睡眠をとれ
渋谷の大開発を手掛ける東急電鉄の働き方
勤務中の"手待ち時間"は休憩と同じなのか
グーグルより社員にやさしい「ポケコロ」