引っかかっても、怒ってはいけない

どうすれば身を守れるのか。まず、業者の名前や商品名はインターネット上で調べます。その際、良否の判断を撹乱するための、炎上商法まがいの情報もあるので要注意です。検索するときは「業者名(or商品名)+消費者庁の通達+行政処分」や新聞記事、消費者センターの情報を参考にします。

家に届く宅配便や郵便物が開封されていないかも要チェック。老父母や妻の通帳をチェックしてお金の流れを把握できるよう、銀行の代理人契約も必須です。任意後見契約は99%の親が抵抗しますが、親が認知症になってからでは遅い。今は戸籍謄本を引いても、結婚したら親子関係は出てこない。つまり、親子であることが証明できません。

反社会的勢力にとって、戸籍は“お宝”。一般の人が考えもつかぬことに利用します。例えば、弁護士に勝手に親子関係を結ばれてしまったというケースも。今後は背乗り(他人の身分・戸籍を乗っ取る行為を指す警察用語)も増えてくる気がします。

これらは、無縁社会ゆえの犯罪と言えるかも。引っかかる根本には「寂しいから」という理由が潜んでいるんです。もし妻や老親が引っかかっても、怒ってはいけません。ますます心が離れて疎遠になり、被害に気付くことすらできなくなります。

1番の防御策は、親子、夫婦、家族が仲良く暮らすこと。単純ですが、実はこれが1番効果的。今どき難しいですが、これに勝るものはないのです。

平塚俊樹
1968年生まれ。証拠調査士。複数社のクレーム担当等を経て2004年より企業・弁護士等を対象に危機管理コンサルティング。著書に『証拠調査士は見た!』ほか。
 
(構成=篠原克周 撮影=永井 浩)
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