行動量の定量分析をするために、長瀬氏は電話営業でアポイントをとる「電話の日」と実際に訪問し面談で売り込む「訪問の日」に分けている。

「電話の日」は、昼休み以外の定時は1日中延々と電話をする。長瀬氏は、1時間単位で1人ひとりのコール数とコンタクト数(電話がつながった数)、アポイント獲得率をたたきだした。

例えば1時間の中でAさんが30件、Bさんが20件、Cさんが15件のコンタクト数があったとする。このような差が出るのは、話している長さや内容が違うからだと考えられる。そこで内容にどのような違いがあるのかを詳しく見ていき、それがアポイント数にどう結びついていくのかを分析した。

コンタクト数が多いAさんがBさんよりアポイント数が少ないのであれば、Aさんは、メリットを訴求できていないことになる。また、コンタクト数の少ないCさんが最も多くのアポイントをとっている場合には、効率よくアポイントに結びつけているといえる。

人が代わっても数字が変わらない仕組みをつくる

営業マネジャーの現状
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このように行動量と成果の相関関係を細かく分析し、改善できる部分を直していったのである。そしてテレアポのスクリプト(マニュアル)、FAQを常に更新していき、誰もが同程度の数字を出せるようにした。長瀬氏は「人が代わっても数字があまり変わらないような仕組みをつくることが組織として重要なんです」と強調する。

さらに決定権を持つポジションの人間に電話がつながっているのかも細かくチェックした。電話をたらい回しにされた結果、「社長は留守です」では、時間ばかりとられてしまうからだ。
「アポイントをとった人が代表者なのか部長なのか平社員なのか、立場は必ず確認しています。立場によっては上司への確認が必要となり、その後のやりとりが多くなる場合もありますし、たとえアポイントをとれても受注率が下がる可能性がありますから」

一定のターゲットエリアに絞ってアポイントをとり、営業ルートを地図上に引くことで、「訪問の日」に効率よく営業ができる仕組みもつくった。

「訪問の日は、朝からずっと外回りです。例えば火曜日は品川区、水曜日は港区など、1日、効率よく回れるように、営業マン自身が電話でアポイントをとる段階で、できるだけ地域を固めるようにしたのです」