「労働」か「仕事」か、それとも「活動」か

そもそも「疲れ」とはなかなか測定できないもの。この人は疲れているな、と他人からもわかる疲れと、本人が感じている主観的な疲れとは、必ずしも一致するとは限りません。

この「主観的な疲れ」は、やりたくないことをやらされているときに、いっそう大きくなります。人間は、仕事などを不本意ながらやらされていると、実際の疲れ以上に疲れを感じるものです。疲れを感じている人は、まず「納得していないことをやらされているのではないか」と自分に問いかけてみてください。

哲学者のハンナ・アーレントは、「働くことには、労働と仕事と活動の3つがある」と語っています。「労働」とは人を消耗させる、できればしたくないもの。「仕事」とは、新しい価値をつくり出す創造的なこと。そして「活動」とは、社会に働きかけること。「仕事」と「活動」から、人は充実感を得ます。「仕事」や「活動」を楽しんでいる人は、肉体的には疲れていても、「疲れたように見えない」ことが多いものです。

もし、疲れたように見せたいという心理が、「やりたくないこと」を強いられているために生じているのならば、「疲れた」演技をするよりも、むちゃな労働を押し付ける会社やマネジメント側への正当なクレームを考えるのが、解決の本筋ではないでしょうか。

(構成=伊藤達也)
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