希望の党の共同代表に玉木雄一郎衆院議員が選ばれた。これで代表の小池百合子東京都知事に代わり、玉木氏が党運営を事実上仕切ることになる。現在、野党は内輪もめばかり。希望の党の内部だけではない。希望の党は立憲民主党と「野党第1会派」を巡り熾烈な争いを繰り広げている。野党結集が遠のけば、聞こえてくるのは安倍晋三首相の高笑いばかりだ――。
希望の党の共同代表に選出された玉木雄一郎衆院議員。(写真=アフロ)

希望の党は「3分裂」している

希望の党の共同代表に玉木雄一郎衆院議員が選ばれた。衆院選の惨敗で党運営への熱意を失ってしまった代表の小池百合子東京都知事に代わり、玉木氏が党運営を事実上仕切ることになる。小池氏の不用意な「排除」発言で失速した希望の党の浮上は玉木氏の双肩に委ねられるが、玉木体制の発足で、希望の党の「排除第2幕」が始まるという見方は根強い。希望の党に、希望はなかなか見えてこない。

玉木氏39票。大串博志氏14票。

2人の一騎打ちとなった共同代表選は11月10日行われた。大方の予想通り玉木氏に軍配が上がった。衆院解散から衆院選後にかけてテレビ番組をジャックしつづけた印象の希望の党だが、11月に入ってからは神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件などに視聴者の関心は移り、共同代表選はほどんど注目されなかった。

だが、実は希望の党、ひいては野党の将来を見通す意味でかなり重要な選挙だった。

最初に刺激的な書き方をするが、希望の党は今、3つに割れている。1つ目は、枝野幸男代表率いる立憲民主党らと連携を進めようという勢力。旧民進党の再結集を目指すと言い換えてもいい。その代表格が大串氏だ。衆院選後の両院議員の会合で、小池氏の責任を激しく追及した議員たちの多くはこのグループに属す。

2つ目は、希望の党の結党に加わったチャーターメンバーと呼ばれる議員たち。細野豪志、笠浩史、長島昭久の3衆院議員らだ。

3つ目は、小池氏やチャーターメンバーには不満を持つが、過度に責任追及することには違和感を持つグループ。民進党再結集よりも、せっかくつくった希望の党単体で体制立て直しを目指そうという考えで、玉木氏はこのグループと考えていい。

「わが党は、立憲主義と民主主義に立脚し」

そして今回の共同代表選は、1つ目のグループに支えられた大串氏、2、3グループが推す玉木氏の争いとなった。この構図は10日の投票前に行われた2人演説からも垣間見られる。

玉木氏が希望の党の再生を訴えたのに対し、大串氏は安倍政権を倒すために立憲民主党や無所属の会と統一会派づくりを目指す考えを強調。「希望の党の綱領は冒頭『わが党は、立憲主義と民主主義に立脚し……』とある」と力説した。

綱領に「立憲」「民主」があることにあえて言及したのは、立憲民主党と共闘することの正当性を訴える狙いがあったのは言うまでもない。