英語上達にはまず英語に興味を持つこと

【三宅】なるほど、非常に興味深いお話をありがとうございます。多くのリスナーからも質問があると思うのですが、そもそも日本人はどうして英語が苦手なのだと杉田さんは思われますか。

三宅義和・イーオン社長

【杉田】本当に世界の八不思議のひとつですよ。いつも感じているのですが、ものすごく費用をかけているのに効果が極端に悪いのはなぜなのか。先日、日本経済新聞の「私見卓見」というコラムに書いたんですけれども、お金さえかければ、英語は簡単にマスターできるという間違った認識がいけないのではないかと思いますね。

【三宅】確か杉田さんは、英語の上達のために何を犠牲にしているか、犠牲なくして上手になろうというのは考えが甘いと指摘されています。例えば、イーオンに来てくださる生徒さんたちは、時間とお金を使っているわけです。教える側も本当に責任重大だと認識しています。

そこで仮定の話ですが、もし杉田さんが今から英語を学び始めるとしたら、どのような勉強の仕方をされるでしょうか。先ほども触れましたが、昔と今では学習環境としてのツールが全然違う。やはり最新のテクノロジーを利用して、それをうまく英語学習に利用されますか。

【杉田】ただ、その前にまず英語に興味を持つということでしょう。学校で必修教科になったからとか、会社から英会話学校に行くことを命じられたというのでは、モチベーションは低く、嫌々ではまずものにはなりません。

それとニーズです。たぶん、イーオンに来ている人は、日常会話ぐらいはできるようになりたいとか、海外留学をしたい、さらにはビジネスでグローバルな活躍したいといった目的があると思います。興味とニーズの2つがしっかりしていないと、英語の上達は難しいでしょう。

【三宅】日本人が目指すべき英語とは何かということをお伺いしたいと思います。最近では「グロービッシュ(Globish)」や「イングリッシーズ(Englishes)」と呼ばれる、非ネイティブ同士の標準英語で問題はないという考え方もあります。

【杉田】語彙を制限するとかえって意思疎通が難しくなります。「民主主義」を1500語以内の単語を使って説明するより、democracyという1語を知っていればそれで事足ります。英語力というのは、語彙が大きければ大きいほどいいに越したことはありません。

かつて私の会社に新卒で入ってくる学生が、内定式で「どのぐらいできればPRのプロになれますか」と質問したことがあります。それに対して私は「私が皆さんに求めているのは、空を飛べ、水の上を歩け、火の中を進めということです。どこまでできればいいかということではありません」と答えたことがあります。

【三宅】そこまで期待しているということですね。

【杉田】人間の持っている能力は無限だと私は思っています。自分を枠にはめ込むのではなく、もっともっと上を目指してやってほしいというのが私からのメッセージです。