上司の心はライバルへの嫉妬と自分への不安でいっぱい

この部長が前任者のやり方を否定するのは、主に2つの理由によると考えられる。1つは、この部署の業績をここまで伸ばした前任者への嫉妬である。もう1つは、異動してきたばかりの“新参者”である自分が果たして認められるのかという不安である。

できる人材が集まった部署なので、部下のほうが優秀だったら、自分の立場がなくなるのではないか、という不安を抱いている可能性も考えられる。要するに、自信がなく、不安が強いからこそ、前任者のやり方を否定せずにはいられない。もっとも、その自覚はないようだ。

常識的に考えれば、前任者のやり方で業績がよかったのなら、それをそのまま継続すればよさそうなものだが、そういう理屈はこのタイプの上司には通じない。とにかく自分のほうができるのだと優位性を誇示せずにはいられず、何が得で何が損かという現実原則で判断することができない。

▼同僚や部下をディスることで優位性を誇示する

こういうタイプは、上司だけでなく同僚の中にもいる。これは他人の価値を否定すれば、自分の価値を相対的に高められると思い込んでいるからである。他人の価値の否定が実際に自分の価値の上昇をもたらすわけではないのだが、この手の思い込みを訂正するのは至難の業だ。

このように他人の価値を否定することを、最近は「ディスる」と呼ぶようだ。この言葉が盛んに用いられるのは、他人をおとしめて自分の優位性を誇示しようとする人が増えているからだろう。こういう人は、他の誰かの活躍や成功をねたんで、破壊しようとすることもある。

たとえば、「業績を伸ばしたのは、取引先の社長の弱みを握ったから」「売り上げの何割かをキャッシュバックしてもらっている」などと根も葉もないうわさを流して、ケチをつける。そのくせ、外面はよく、激励や祝福の言葉を口にするので、要注意である。