記者として責任を果たさないといけない

一方で「官房長官会見は政府の公式見解を聞く場だ」「貴重な会見時間を無駄にしている」などと批判も受けた。脅迫電話もあったという。「正直、怖い」と本音を漏らす。

それでも「政府見解だけでよければ、秘書官が練り上げた文章を紙で出せばいい。会見に出られる特権を持つ記者として責任を果たさないといけない」と力を込める。

「国会の前では今日も政府に必死な思いで何かを訴えている人がいます。会見に参加したくてもできない人の声をできる限り政府にぶつけるため、私は質問をやめない」

自分は「極めて普通な人」

本書には望月記者の歩みがつづられる。「最近持ち上げられるけど、極めて普通な人なんだってことをわかってほしい」。

記者としては功績より失敗や辛い経験が多く、取材先の特捜に呼び出され取調室に缶詰めにされたことも。

望月記者は何かあっても「トホホ……」とつぶやいたあとは、底抜けの明るさで過去を振り返らない。「記者を目指す人や元気がない人にもこの本を読んでほしいな」。

(撮影=横溝浩孝)
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