このとき、いちばん有効なのは、あわてずに放っておくことです。もし、能力やスキルから判断した適切な人事であったなら、引き上げられた女性は、やがて与えられたポジションで結果を出すようになるでしょう。そうすれば、他の女性たちもそれを見て、徐々に理解を示すようになります。だから、たとえ一時は職場の女性を敵に回そうと、上司たるもの「人の噂も75日」と思って、しばらくはじっと耐えるのです。

また、日ごろから部下の女性たちに好かれているなら、どんな人事をしようがそれほど文句は出ないものです。女性陣がいきり立つのは、その上司が彼女たちにとって好きではない90%に分類されているからだともいえます。

女性は「心」と「顔」が異なる

ただ、女性は心と顔が異なるので、表情だけではなかなか本心がわかりません。自分が部下の女性に好かれているかどうか、私はそれを「2人主義」という方法で測っていました。2人で話をするときに、主語を「ぼくと君」とするのではなく、あえて「ぼくたち」としてみるのです。女性は嫌いな人と2人1組にされると生理的に我慢できないところがあります。それゆえ、「ぼくたちの考えはこうだよね」といわれると、相手のことが好きでないときは「いいえ、私は部長とは違います」と、必ず否定せずにはいられないのです。

もし嫌われているとわかったらどうするか。慌てて自分の魅力をアピールしたり、相手の機嫌をとったりしてなんとか好きになってもらおうとしてもムダです。そんなことで人の気持ちは変わりません。そうではなく、自分がその女性を心から好きになるのです。

▼「えこひいきだ」と言われたときの対処法
・女性から「ひいきだ」と非難されるのは当たり前
・ウワサはやがて消えるので放置すべし
・ただし、本当に「ひいき」だったり肉体関係があったらアウト!
・女性部下の本心を知るには「2人主義」で質問せ

ただし、人事の裏に「あわよくば」というスケベ心が潜んでいたり、本当に部下との間に男女関係があったりしたら話は別。隠そうとしても女性は敏感にそれを察知します。この場合は、たとえ時間が経っても、女性の部下の信頼を取り戻すのはほぼ不可能。不徳のツケを一身に受けることを覚悟するほかありません。

櫻井秀勲●きずな出版社長
1931年、東京生まれ。東京外国語大学卒業。「女性自身」編集長として当時最高の発行部数147万部の記録を打ち立て、「女学の神様」と呼ばれる。『女がわからないでメシが食えるか』をはじめ著作は200冊を超える。
 
(構成=山口雅之 撮影=大杉和広)
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