理容師・美容師は、手待ち時間の割合が高く、仕事の負荷がそれほど高くない。完全予約制にして、手待ち時間を削減するとともに、業界として定休日を増やすなどして、営業日を集約することも一案である。

ドライバー(トラック)や理容師・美容師に多くみられる手待ち時間が、休憩時間ではない点にも注意すべきだろう。仕事に拘束されている手待ち時間を、心身のリフレッシュを図るための真の自由時間に変えることは、働き手の「生きた時間」を増やすことにほからなない。

パターン(2):政府による規制強化も検討する

下請け構造の中で長時間労働が発生している場合には、政府サイドで(発注元に対する)規制を検討することも一案だろう。

土木・建築・設備の施工管理・現場監督・工事監理者は、現場の裁量は任せられて働いているが、有給休暇がとれず、働く日時は選べない。平均週48時間程度働いていることは、予定工期・納期の見積が十分でない可能性がある。実装・据付時の想定外の対応を含めて、現場にしわ寄せがいかないように、発注元に適切な工期の設定を求めていく必要もあるだろう。

パターン(3):仕事を切り出して、委譲する

ホワイトカラーのマルチタスク化や権限集中は長時間労働を助長する。職務を分解し、メンバーに割り当てられる仕事を発見し、ジョブシェアする方策も考えられる。

店長は、自分で仕事のやり方を決めることができるが、周辺雑務割合が高く、単調ではないさまざまな仕事を、業務全体をみながらこなしている。労働時間を是正するためには、周辺的な雑務について、メンバーに委譲できる部分を増やしていく必要がある。

医薬品営業は、本来業務の割合が低く、周辺・手待ちの割合が高い。自分で仕事のやり方を決められるものの、単調ではないさまざまな仕事が多く、ストレスも高い。個人に負荷のかかる仕事のアサインではなく、周辺雑務を見直し、集約化して、チームでバックアップするなど、チームマネジメントに取り組むことが求められる。

パターン(4):テクノロジーを活用する

モバイルなどテクノロジーの活用で仕事の効率化や無駄の削除を進める。ときにはテクノロジー企業と連携して仕事効率化のツールを開発することも有効である。

ドライバー(タクシー・ハイヤー)は、手待ち時間の割合が3割を占めており、仕事の負荷も高くない。一方、OJTの機会は多くない。リアルタイムで乗車希望を把握するデバイスを活用する等して手待ち時間を削減して、休憩や自由活動の時間を積極的に増やすことが望まれる。こうして得られた心身の健康増進は、輸送以外のサービスの提供や安全教育・運転スキルの向上にもつながるだろう。