case:2 9年間の不倫を清算!
奥山佳織さん(仮名・34歳)

妻子ある男性に魅かれたのは20代半ば、相手は職場のプロジェクトでリーダーを務めていた。失恋の傷心を抱えて、12歳年上の上司だった彼に悩みを漏らしたのが始まりだった。

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「頼りがいのある人なので仕事に対しても的確にアドバイスをしてくれ、どんどん魅かれていきました。既婚者なのは知っていたし、向こうも一線を越えない態度を崩さなかったけれど、だんだん上司と部下の関係を超える感情に変わり……」

引っ込み思案で自信をもてなかったという奥山佳織さん。幼い頃に両親が離婚し、父親の記憶がないため、心の支えになる「大人の男性」を求めていたのかもしれないと顧みる。

遅くまで残業した後、帰りの電車で話すのが日課に。ずっと実家から通っていたが、1人暮らしを始めたことで彼との距離も一気に縮まる。

「それでも不倫しているという実感はあまりなかったんです」

だが彼が離婚をほのめかすようになると、後ろめたさがつのる。自分も父親がいない寂しさを感じてきたから、彼の子どもたちに同じ思いをさせてはいけないと思ったのだ。

上司と付き合って2年、奥山さんは転職を思い立ち、不倫関係を終えようとした。だが、新しい出会いを求めて婚活パーティーに行き、別の男性と付き合ってもうまくいかない。そんなとき別れた彼から連絡があると、またよりが戻ってしまう。結局、付き合いは9年間続いた。

9年間の不倫を断ち切れたワケ

そんな日々をついに断ち切ったのは34歳のとき。「結婚」を思い描くなかで心の声に気づいたという。

「彼も結婚したいと言ってくれて、最初はうれしかったけれど、私の中では“何かが違う”という気がした。彼と家庭をもつことが想像できなかったのです。こういう関係が面倒になってきて、どこか冷めている自分もいる。ならば本気でケジメをつけなくちゃ、と心を決めました」

奥山さんは思いきって結婚相談所に登録。そこでめぐり合った男性ととんとん拍子で結婚に至った。

前の上司には新しい彼ができたことを告げ、それ以来、連絡を取ることはなくなった。相手からは未練がましい長文メールが何度も届いたけれど、いっさい返信していない。

「前の私は相手に頼りきって、何かあればすぐ助けを求めてしまう弱さがあったけれど、今はちゃんと自分の意思をもって決断できるようになった」という奥山さん。9年間の不倫を断ち切ったことで「自立」を目指す。その先には、最良の人生のパートナーも待ち受けていた。