与えられた情報を鵜呑みにしてしまう経営者たち

(1)情報収集の場所

中堅中小企業の経営者が経営に役立つ情報をどこで収集しているかを見ると、情報収集の場所は「講演・セミナー・勉強会」「自社内」「オフタイムの会合」「展示会・商談会」が上位4項目になり、特定の場所で情報収集する傾向はなかった。

モバイル端末などを利用した情報検索を背景として、「通勤・移動中」に活発に行われているのではないかという予想が外れ、最も少ない選択肢となっている。地方都市に暮らす経営者は自家用車で通勤していることが影響している可能性があるものの、経営者が情報検索にモバイル端末を利用していないことは気になる。

(2)情報提供者

情報を提供してくれる人のトップは「同業者や交流会参加者」、2番目が「取引先担当者」、3番目が「顧客」、4番目は「自分」で調べる、5番目は日頃から業務上の接点がある「金融機関担当者」からの情報収集となっている。

中堅中小企業の経営者は同業者から情報を得ていることが多く、異業種からの競合参入に関する情報入手に隙があることがわかる。ネット通販に代表される新たな販路の拡大に影響を受け、業績が厳しいと答えた「小売業」ともこの点で辻褄が合う。

(3)活用しているメディア

日頃活用しているメディアを見るとトップは「新聞」、2番目が「テレビ」、3番目が「雑誌」、そして4番目に「ホームページ」となっている。ネットが存在しなかった時代のままのメディアが主流となっている。

必要な情報は自ら探しにいくことが当り前になったネット検索時代に、与えられた情報をそのまま鵜呑みにしてしまう経営者がまだ多いことに驚く。

(4)活用が増えたメディア

3年前と比較し中堅中小企業の経営者でビジネスに活用する事が増えた新たなメディアとしては「Facebook」が上がり、ブログやメールマガジンも登場している。ビジネスでの活用では「Facebook」に中小企業経営者の注目が集まっている。

また「新聞」の活用が増えたという中小企業経営者が多くなっているが、専門分野に特化した業界新聞などの存在感が増している可能性もある。

(5)新しい携帯端末の活用意向

タブレット端末やスマートフォン等の新しい携帯情報端末については、「現在利用し今後も継続すると考えている」層は31.7%、「現在使用していないが今後は利用意向を持つ」層が44%、「現在使用しておらず今後も使う気がない」層が23.4%、「現在使用しているが今後は使用をやめたい」層が0.9%となっている。

業種別に見ると現状すでに利用している層が多いのが「製造業」39.0%、反対に「その他業種」が21.6%、「卸売業」は25.2%と、利用度が低い。使ってはみたが今後はやめたいと思っているのは、「不動産業」3.4%、「サービス業」1.8%で、他業種に比べて若干比率が高い。

経営者の年齢別に見ると、すでに利用しているのは30代が88.9%と圧倒的に高く、年齢が高くなるに従い利用者は減少する。

(6)ビジネス情報を収集するwebサイト

メディアをインターネットに限定して、どのようなwebサイトからビジネス情報を収集しているのかを見ると、全体としては、「ポータルサイト」の利用が最も多く、トップページにあるニュースやキーワード検索によって情報収集しているようだ。次いで、「Nikkei.com(日本経済新聞)」「日経ビジネス」となり日経関連のwebサイト利用が続く。

業種別で「ポータルサイト」の利用が最も多いのは「サービス業」で、「卸売業」は最も少ない。また、「卸売業」は「Nikkei.com」「PRESIDENT Online」の利用が他業種に比べ多くなっている。逆に、「建設業」は「Nikkei.com」「日経ビジネス」の利用が少ない。

これを経営者年齢別に見てみると、若い経営者は、「ポータルサイト」を中心に利用しているが、年齢が上がるにつれて、「Nikkei.com」などの特定のニュースサイトを中心に利用している傾向があるようだ。

この調査結果とのご自身の取り組みを比較してみてほしい。経営に課題があるのは、自身の情報収集方法と情報源に問題があるかもしれないからだ。(後編に続く)