パート・アルバイトとシニア社員は賃金アップ!

まずは、給料が上がる見込みの人。

パート・アルバイトについては、慢性的な人手不足に加え、最低賃金1000円時代、配偶者控除の引き上げも後押しするため、着実に上がっていくでしょう。すでに、都心の小売業や飲食業では、正社員を上回る時給水準も発生しています。

シニア社員も、上昇基調です。政府は、65歳以降も働きつづけられる社会の実現を目指そうとしています。一方で、労働者側も「できれば65歳を超えても働きたい」という人が少なくありません。この点は、政府と働く人の考えが一致しているのです。同一労働同一賃金に加え、65歳以降の雇用促進や副業・兼業により、シニア社員の60歳以降の総収入は上がることが予想されます。

次に、給料が上がりやすい人。

女性正社員については、全体的な給与水準改善は急速には進まないでしょう。今回の法改正では、非正規社員の待遇改善が優先されるからです。ただし、女性の管理職登用は、大企業や公務員を中心に拡大していく傾向にあります。自らのキャリアアップに積極的な女性については、しばらくは追い風が吹いている状態と言えるでしょう。

契約社員や派遣社員などの有期社員は、法案通りなら、正社員との賃金格差が是正される方向です。しかしながら、契約社員という雇用形態は、会社によって処遇方針が多岐にわたります。例えば、IT業界などでは、正社員よりも高給取りの契約エンジニアが多数存在しています。そのため、一概に賃金アップするとは言い切れません。

一方、派遣社員にとっては、雇用主である派遣会社の社員との比較で見るか、派遣先企業の社員との比較で見るか、という問題が難解です。法案の方向性は、派遣先の社員と比較される見通しですが、果たして実現するか。派遣先によって、賃金水準が大きく異なるということになれば、大手など好待遇企業での勤務に、派遣労働者の希望が殺到することも予想されるからです。

政府としては、有期社員の限定正社員化を推し進めたいと考えています。契約社員や派遣社員にとっては、正社員転換できるチャンスを迎えています。限定正社員化による給料増を狙うのが、得策と言えそうです。