そこで私はハタとわれに返りました。たしかに冷静に自分の生活スタイルを振り返ってみると、自宅は駅から近いし、仕事は都内に電車で行くし、買い物はほぼネット通販。

車を使うのは、子どもの保育園への送り迎えと、日々の生鮮食料品などを買うためスーパーへ行くくらい。毎日使うけれども、走行距離にして1日10キロに満たない。たまに家族で外食やレジャーに行く程度。

その程度しか乗らないので、高機能な新車はたしかに満足度は高いけれども、ただ持て余すだけ……。

そこで中古車検索サイトを調べたら、近所の中古車販売店で軽ハイトワゴンが19.5万円で出ていた。8年落ちで走行距離約14万キロメートルと、かなり走っているから安い。

さらに検索したら、タクシーなどは20万キロ、30万キロは当たり前の世界で、特に日本車はオイル交換などきちんとメンテナンスしていれば、14万キロ程度はまったく問題ないとのことでした。

「4年後とか5年後とか、第3子ができて車じゃないと移動が大変とか、動物園や博物館など車がないと不便なレジャー施設などに行くようになってから、新車のワンボックスカーなどに買い替えればいい」

という妻の意見も非常に合理的。何より、今回で浮いたこの150万円を別のことに使える。と話していたら次の瞬間、妻から驚愕のひと言。

「それでピアジェの腕時計買って」

自分の幸福に寄与する判断基準は何か

オチはともかく、合理性が高ければどんなこだわりも即座に捨て去ることができるのは、私のひとつの長所だと思っています。

そんな自分が大切にしている価値観を見出すためには、内省の作業が欠かせません。自分の行動を振り返り、その背景にある理由を考えてみる。その作業を繰り返していると、自分の思考や行動のパターンが見えてきます。

その判断や行動の根拠に、自分の価値観があるわけですが、もうひとりの冷静な自分を発動し、その価値観は自分の幸福に寄与するものかどうか、論理的に検証するのです。

それが心から納得できるものに調整していけば、確固たる自分の判断基準、行動指針ができあがります。そうすれば、自分の人生にとって大切なこととそうでないことを分別できるようになります。

午堂登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士。1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』『「いい人」をやめれば、人生はうまくいく』(ともに日本実業出版社)など著書多数。