かつての偉人や優れた起業家の文献を調べていると、スティーブ・ジョブズ氏やイーロン・マスク氏に限らず、社会を変革するようなイノベーターには、社会性が乏しい人が少なくないとわかります。

しかしよくよく考えてみると、社会性がないから社会のひずみに気がつき疑問が湧くわけです。社会性がないから、周囲が何と言おうと自分の考えを押し通して社会を変えられるわけです。

優れたイノベーターに社会性は邪魔

そもそも「社会性がある」とは、自分を周囲に合わせて集団の中で上手にわたっていく能力のことであり、社会性が高ければ高いほど、周囲が驚くような突拍子もないことはできないでしょう。

つまりイノベーティブ人材になるには、社会性はかえって邪魔なのかもしれません。

フランスの小説家、スタンダールがかつて「凡人が敷いたレールに自分の思考を乗せないのが天才の特徴」と言ったように、他者から抜きんでて何かを成すためには、社会性が大事とか、協調性が大事なんて言うのがそもそもの間違いかもしれません。

もちろん、度を越した社会性の欠如ぶりでは誰からも相手にされず、逆に窮屈になりそうですが、あまりに周囲との協調を重視しすぎる必要はないように感じます。

午堂登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士。1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』『「いい人」をやめれば、人生はうまくいく』(ともに日本実業出版社)など著書多数。
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