希望の党との合流「あまりにも奇策」

さて選挙関連の社説の中で、目立って面白かったのが、10月23日付の日経新聞の1本社説だ。

冒頭部分では「いちばんの責任は民進党の前原誠司代表にある」と指摘している。そのうえで「いくら党の支持率が低迷していたとはいえ、衆院解散の当日という土壇場になって、野党第1党ができたてほやほやの新党『希望の党』に合流を決めたのは、あまりにも奇策だった」と酷評する。

さらに「有権者に『選挙目当て』とすぐに見透かされ、7月の都議選に続くブームを当て込んで希望の党になだれ込んだ候補者はいずれも苦戦を余儀なくされた」とも書く。

当然の結末である。この日経社説を民進党の議員や関係者はどう読んだのだろうか。

日経も「野党の自滅」と指摘

さらに日経社説は「この選挙をひとことで総括すれば『野党の自滅』である」と指摘し、「自民党と公明党を合わせて、定数の過半数を大幅に上回り、選挙前と同水準の議席を獲得したとはいえ、野党候補の乱立に救われた選挙区も多い。両党が『与党の勝利』『安倍政権への全面承認』と受け止めているとしたら、大いなる勘違いである」と書く。

そのうえで「有権者は自公の連立政権に軍配を上げたが、野党よりはややましという消極的な支持にすぎない。自民党に取って代われる受け皿さえあれば、簡単に見限る程度の支持であることは、都議選で身に染みたはずだ」と言及する。その通りである。

小池氏「私自身にもおごりや慢心があった」

一方、24日付の東京新聞の社説は、「希望の党敗北」とのタイトルで「都知事の仕事に専念を」との見出しを付けている。

社説のリードには「東京都民を置き去りにしたような振る舞いが不興を買ったのだろう。小池百合子知事が率いる希望の党の敗北。知事としての求心力の低下は避けられまい。都民のための都政に専念することを望む」とある。

そのうえで社説本文は「小池氏は出張先のパリで『私自身にもおごりや慢心があった』と反省の弁を述べた。だが、もはや『都民ファースト』のスローガンが信用を取り戻すのは簡単ではあるまい」と書き出す。