そして、なにより上司側の発注に問題がないかという検証も必要だという。「今の話、適当にまとめておいてくれ」と頼まれた若い部下は、困惑してしまう。なぜなら「適当に」「まとめる」がどのレベルなのか、はっきりわからないからだ。

「昔の適当と今の適当は、レベルが全然違うんです。テクノロジーが発達した今、かつて図書館に行って初めて入手できた情報がネットですぐ拾えるため、ファクト集めに励んでしまう。そして、パワーポイントを使って見栄えのいい資料を作ろうと力を入れてしまう」

「だから、期日はいつか、どの程度の正確性を求めているのかを、具体的に伝えなければいけません。『グラフや表は不要だから、パワポは使わなくていい。テキストベースでA4、1枚に趣旨をまとめて、明日の昼までに見せてくれ』というように頼めば、求めているものが正確に伝わり、部下も動きやすくなります」

せっかち型・のんびり型は、人の属性である。しかし多くの企業に関わってきた細井さんによれば、企業体質にもこれに似た2つのタイプがあるという。その典型が、外資系企業と日本企業だ。

企業にもあるせっかち&のんびり

結論が速く、経営方針が短期で変わる外資系はせっかち型。マネジャーや社長でも短い期間の業績で判断され、結果が出なければすぐ事業を撤収したり、次のプロジェクトを始めたりと展開が速い。

対してすぐに結果を求めないのんびり型だったのが、旧来の日本企業だ。企業はずっと存続していくものという長期的な視野があったため、業績がふるわない期間が長く続いても、忍耐強く浮上を待てる気長な体質があった。

「外資系の会社は、合理的な発想に基づき、スピード感を求めます。商品に一定の不良が出ることがわかっていても、それが想定内のエラーで、クレームが発生しても交換などで対処可能と判断し、歩留まりが90%でOKだったなら、それでゴーサインを出す。スピード重視ゆえ、そこまで精度を求めない」