日本人は「年1.4本」しか映画を観ない

「お金を払ってまで、大切な食事を失敗したくない」。持てる時間にも財布にも限度がある一般庶民にとっては、ごく自然な考え方です。世の多くの人は、食事をおざなりにしたくないのと同じく、映画を「ジャケ買い」はしません。映画を観ることなんぞで危険な「賭け」などしたくないのです。……ということをなかなか理解しないのが、「予想外の展開、想像を超える結末、聞いたこともない価値観の提示」を求めて高レートの賭場に通い詰める、一部の映画ファンなのかもしれません。

一部の映画ファンが大ヒット作を――時に観もしないで――ボロクソにこき下ろす一方、一般の観客がそれに喜々として満足し、作品選定に関して超保守化している国内興業界の状況は、こんなすれ違いに端を発しています。この閉じた二極分化傾向、ある種のタコツボ化は、日本人一人あたりが1年間に映画館で映画を観る平均本数をたった1.4本程度に押しとどめている原因のひとつではないでしょうか。他の国を見ると、韓国では年間4.2本、米国では年間4.1本、フランスでは年間3.2本と大きく水を開けられています(「キネマ旬報」2017年3月下旬号ほか、各国の人口データから算出/いずれも2016年度)。

日本の映画ファンが「いつもの味」を求める価値観にもっと寛容になり、一般の観客が「新しい店を開拓する醍醐味」に目覚めれば、両者ともに「いつもは観ない映画」に足を運ぶようになり、日本の映画市場はもっと活性化するでしょう。習慣のまるで異なる海外の観光客にも優しくできる我々日本人ですから、自国内の異文化理解程度はきっとお手の物――と期待したいところです。