不満を持つのは、当たり前

──私自身はゴマスリが得意ではありません。でも、やっぱり上手く擦り寄っていく人のほうが、高く評価されている気がします。

どんな集団もそうですが、理想的な人が上司になるとは限りません。国のトップもそうです。

聡明なトップのときはトップに任せておけばいいけれど、そうでないときは部下が知恵を絞らなければ立ち行かなくなる。昔の商家では、跡取りのデキが悪ければ「お金をあげるから、遊んでたらええよ」といい、その代わりに、例えば娘の婿養子として有能な番頭を取らせて商売を継がせることがありましたね。

──今の私の上司は聡明ではないかも……。

ただし、すべての人間は、自分の能力を3割から5割増しに見る脳みそを持っています。だから「評価をされていない」と不満を持つのは、当たり前といえば当たり前のことです。

基本的には「この1年、こういう目標を与えられ、こういう実績を示しました」と数字・ファクト・ロジックで「私を昇進させてください」と言うしかないと思います。

──自分では仕事をしているつもりだけれど、客観的に見たら「全然、できていない」という場合もあるということですね。

はい。もし自分の能力を3割から5割引きで見ても評価されないのであれば、その職場を見限り、昇進できる可能性のある職場を探せばいいと思います。

Answer:実績で評価するか、ゴマスリが好きなのか。上司のタイプを見極めましょう

出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険創業者

1948年、三重県生まれ。京都大学卒業。日本生命ロンドン現地法人社長、国際業務部長、ライフネット生命社長・会長などを歴任。
 
(構成=八村晃代 撮影=市来朋久)
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