▼突破力
未来の構想が大きいほど、実現への壁は高くなります。その壁を乗り越える突破力が欠かせません。現状のしがらみを打破するには、知力、体力、腹の括り方、政治力など、あの手この手でやり抜くことが重要です。

(1)しがらみに挑む自分の立ち位置を明確にする決断力
(2)大きな目的は維持しつつも現実を直視して粘り抜く度量
(3)人の話を聞いて自説にこだわらずに仲間に引き入れる柔軟性

▼パイ(Π)型ベース
パイ(Π)の2本の縦棒は複数の専門性を、上の横棒は幅広い教養を表します。複数の専門性を持つことによって生まれる「知の交差点」によって、イノベーションは起こりやすくなります。また、未来を構想するには、何が未来の社会にとってよいことなのかに関する的確な判断ができる教養を備えておく必要があります。

(1)複数の分野での一流の専門力
(2)目的形成につなげる広い教養
(3)知のベースとなる情報収集力

▼場づくり力
オープンイノベーションのために社内外のさまざまな人を巻き込み、モチベートするのが場づくり力です。場づくりができなければ、知は生まれず、大きな仕事もできません。コミュニケーション能力や楽観的思考などに支えられた、人がついていきたくなる資質とスキルが大切です。

(1)つながり力
(2)共感力
(3)コミュニケーション力

イノベーターシップを築く近道は、先述した旭酒造の桜井会長やイーロン・マスクのような、イノベーターシップを持ったロールモデルを選び、その人物を観察し模倣することです。ロールモデルに直接会うことは難しいので、新聞、雑誌や書籍などを通じて、その人物の生き様や哲学、行動などを学ぶとよいでしょう。

イノベーターシップは、ここに挙げた5つの力の足し算で成り立っているのではなく、それらを掛け合わせた総合力と言えます。ですから、自分にとってのロールモデルを決めたら、5つの力それぞれのアングルから観察し、その人物がどのようなことを実践しているかを理解し、それを自分の中に取り入れて実践してみることをお勧めします。

(構成=増田忠英 写真=Getty Images)
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