ゴルフの作法についても上司や先輩から教わりました。先日、お客様とゴルフをしたとき、微妙な距離のパットを残した担当者に「もう、OKだ」と言いました。すると担当者は恐縮して「まだ打ちます」と返してきた。これはとんでもない勘違い。担当者のスコアのためではなく、早く旗を持たせるためにOKを出したのに、それに気づいていなかった(笑)。お客様にいかに楽しんでいただくかが大事なのです。

どのような場面でも相手を思い気遣う

このようにさまざまな礼儀やマナーを教わりましたが、共通しているのは、まわりの人を慮っているということ。つまり、どのような場面でも相手を思い気遣うことが最高のマナーなのです。

入社当初、外部の講師の方に来ていただいて、社会人としての基本的なマナーを研修で教えてもらいました。そこで教わったことは、もちろん重要です。ただ、形式だけ守ればいいというものではない。むしろ大切なのは、まわりの人に気持ちよくいてもらうこと。そこをはき違えてはいけません。当社ではマニュアルにとどまらず、現場で伝承されているものも多いです。

ある背の高い上司がいました。その上司は、立食パーティーで背の低い方とお話しするとき、真っ直ぐ立たずに少しずつ足を横に開きます。足を開いて立つのは、行儀のいい姿勢ではありません。それなのになぜ足を開くのかというと、相手に目線を合わせるため。上から見下ろすと相手に威圧感を与えてしまうし、かといってあからさまに膝を曲げるのも失礼。そこでさりげなく足を開いて高さを調節し、相手が話しやすい状態をつくっていたのです。

これぞ本物のマナーではないでしょうか。表層的なものにとらわれず、相手にとって本当に何が必要なのかを考える。そこから生まれた立ち居振る舞いが、いいマナーです。