そして、最後に忘れてはならないのが、プランやプロセスづくりの大前提となる目標の設定だ。単に目標を設定すればいいというわけではなく、「目標をどう捉えるかで、成長、やる気、パフォーマンスが大きく変わります」と大儀見氏は釘を刺す。

もっと上に行きたいという意欲が高まる

「達成目標理論」には「課題目標志向」と「自我目標志向」という2つの目標の捉え方がある。成績や評価を考えて行動する自我目標志向が強くなると、ミスを恐れ、次第に挑戦する意欲が衰える。一方、課題目標志向が強いと、目標達成のためのプロセスを重視し、自分の努力や成長の過程に目を向けるようになり、もっと上に行きたいという意欲が高まる。

ただし、課題目標志向と自我目標志向は常に一定ではない。当初は課題目標志向だったのに、いつのまにか結果を気にするようになり、自我目標志向に変わっていたということがよくある。そこで、自分がどちらの志向なのかを、絶えずチェックしておくことが重要になってくる。

最後に問題部下のやる気スイッチを入れ、モチベーションをアップさせていく順序を整理しておこう。まず、成功確率50%ないし前回実現した成果と比べて10%ほど高い目標を設定し、実現に向けたプロセスを提示する。強制でも構わず、むしろこの程度の目標なら部下も「できそうだ」と考え、脳内はノルアドレナリンが分泌されて集中力が高まる。ここがやる気のスイッチが入った瞬間なのだ。

その目標が達成されたら、部下が退屈しないよう、さらに1段上の目標に挑戦させる。それが達成されると高揚感が高まり、脳内ではドーパミンが分泌されてプル型のモチベーションがアップする。そして、自分ができそうと思える1段上の目標への挑戦と達成を繰り返すことで、自分が最も心地よいと感じるフローの領域内で、自ら成長していくようになる。

当初は強制的で外発的動機付けだったが、ここまでくると内発的動機付けに転換されていて、上司の役割も課題目標志向か自我目標志向かをチェックさせたり、サポート役に徹することだけで済むようになる。ぜひ職場で活用してほしい。

(撮影=柳井一隆、加々美義人)
【関連記事】
炎上必至の面接質問「残業できる?」に今、学生はこう切り返す
相手を思いのままに操る「黒い心理術」4
"上司の質"で組織の生産性に倍の差がつく
なぜ「ゆとり世代」は自己肯定を求めるか
敏腕上司が実際に使っている"キメゼリフ"