「自宅パソコンで求人探し」だけじゃダメ

――転職には退社という関門がありますよね。そこで差はありますか?

【A】問題になるのは、慰留と引き継ぎです。前向きな人の多くは、次の会社に完全にマインドが移ってしまい、もはや“心ここにあらず”。会社側もいちおう慰留はするけど、無意味だから「なんで?」ぐらいしか聞かない。一方、慎重な人は会社側も止めに入ります。ネックが1つ1つ取り除かれ、最終的に残る人もいます。

引き継ぎに関しては、前向きな人は適当な資料しかつくらない。いい情報しか残されていないお客さんから怒られて、前任に「どういうことですか」と聞いても「そういえばそんな失敗があったかな」とか。でも慎重な人は、辞める前から自分がいなくなってもいいようなオペレーションを組んだり、部下に権限委譲していたり、引き継ぎ事項をまとめていたり。引き継ぎは慎重な人からのほうが圧倒的に楽ですよ。

【B】うまく会社を辞めるには、まずどこに転職するかを言わないこと。転職先についてあれこれ悪口を言う人もいますから。もちろん“立つ鳥跡を濁さず”で、今いる会社や人の悪口も言わないのが賢明。あえて言えば、慎重な人は寡黙ですが、前向きな人はペラペラ話したがるので注意が必要です。

――転職活動中はどう過ごしますか?

【B】自宅のパソコンで求人探しをやる人がいますが、それだけだとよくありません。顔色が悪くなり、表情が乏しくなり、会話の反応が鈍くなる。例えば部長をやっていた人は、次の転職先でも部長で応募するわけです。転職先の相手が見たときに「ああ、さすが部長だな」という、ピカピカしたものが見えてないとマズイわけですよね。いくら過去に部長をやっていたとしても、しょげ返った雰囲気が漂っていれば誰も採用しません。

転職活動中は、メンタルを落とさないことが一番大切。履歴書1つ書くにしても筆が鈍ります。だから、自分の名刺をつくってセミナー、展示会などに通い、なるべく人と会ったりするほうがいい。職探しもカフェや外でやるほうがいい。要は休まないことです。間違っても「疲れたから海外旅行に行きます」などとやっていてはダメです。そんなことをしたら顔が緩んでしまう。中高年の転職なんて、待っていても何もいいことはありません。自分で切り開く前向きさは絶対に必要です。

【A】前向きな人は「今日は面接だし」と言って気にせずに有休をとったりするのですが、慎重な人は退職してから転職活動をするケースがあります。要領が悪いように見えますが、責任感が強いとも言えますし、その人なりの労働哲学が滲み出るのだと思います。