この大手3サービスのうち、ユーザー数、登録作家数ともにトップを走るのがミンネだ。2017年8月時点でアプリダウンロード数は800万件、登録作家数は37万人以上、2016年の年間流通総額は83.9億円となっている。ファンの熱量も高く、今年4月に開催された即売イベント「minneのハンドメイドマーケット2017」では、2日間で約5万2000人が会場を訪れた。

平日にもかかわらず、混雑していた「minneのハンドメイドマーケット2017」(編集部撮影)

GMOペパボの社員としてミンネを立ち上げたミンネ事業部部長の阿部雅幸氏は、「なかには月の売り上げが500万円にのぼる人気作家さんもいます」と言う。

そして阿部氏は、後発のミンネが勝ち上がった理由について、こう分析する。

「当時のハンドメイド系のECサイトは、ナチュラル系のデザインが中心で、“手芸寄り”の雰囲気が強かったんです。しかし、それではユーザーを絞ってしまうので、ミンネはセレクトショップで商品を選ぶ時のようにワクワクできるデザインを目指しました。また、操作性にもこだわり、ネット初心者の方でも簡単に作品販売をはじめることができる使いやすさを目指しました」

敷居が下がった分、売れずに悩む人も

ミンネの存在が知られるようになったことで、ハンドメイドの売買に参加する敷居は下がった。スター作家も誕生している。しかしユーザーが増えればおのずと競争は激しくなる。商品をつくっても「売れない」人が増えてくる。

そうした悩みを持つユーザーのために、講座も開催されている。8~9月に行われた「minneで簡単! 小さな人気店のはじめかた・つくりかた」(「神保町大学」主催/全3回)に、足を運んでみた。

全3回の講師をつとめるのは前出のGMOペパボ株式会社の阿部雅幸氏、デザイン事務所「リドルデザインバンク」代表の塚本太朗氏の2人。各回にゲストスピーカーが参加する形式で、3回目には「ミンネ」内の人気作家「andcompany」の大沢慶久氏が登壇した。

受講者は女性を中心に、20代から50代まで幅広い。話を聞いてみると、「娘にすすめられて、趣味の洋裁を出品している」という主婦から、「自分が一時期暮らしたアフリカの文化をアクセサリーにして発信したい」という会社員女性、「愛犬家仲間のために犬用の家具をつくっている」という女性まで、ハンドメイドへの動機はさまざまだった。

「神保町大学」にて開講された講座はすぐに満席に。男女比は3:7程度(編集部撮影)

講座では、かなり具体的なノウハウが紹介されていた。たとえば「どんな商品写真を掲載するかが売れ方にかかわる」という話では、「部屋の照明は使わない。昼間の自然光を使うと色味が伝わりやすくなる」「100円均一の商品で撮影キットをつくる」といった内容を、実際の写真を交えながら解説していく。ほかにも「こまめに商品をアップしつづける」「タイトルの付け方を工夫する」「作品の値段は安くしすぎない」といったアドバイスが行われていた。